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維新の提唱する予備選は意外とうまくいくのではないか ただし……

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いよいよ24日から通常国会が始まる。自民党のゴールは年度内の予算成立だ。この問題は別のエントリーでまとめることにする。

最近、トランプ大統領の問題や中居正広氏問題ばかり見ていたので国内政治に関する記事をほとんど読んでいなかった。その中で目についたのが維新の予備選だ。関西以外に勢力が拡大できない維新の窮余の策なのだろうと思うのだが「やり方によっては意外と成功するのではないか」と感じる。

最近エンタメ業界ではオーディションによるメンバー選出が盛んに行われている。

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オーディション番組が流行っていたのは少し前という印象がある。このため、Timeleszのオーディション構想を聞いたときには「何を今更」と感じた。だが菊池風磨構文が話題になるなどそこそこ注目を集めているようだ。

もともとオーディション番組の楽しみは「育てる楽しみ=育成ゲー」的感覚にあった。しかし、Timeleszの場合は「再生をかけたメンバーと新メンバーのガチのぶつかりあい」が視聴者の心を惹き付けたようだ。

少し前に流行ったオーディション番組を参考にすると次のようになる。

まず維新は「選挙のプロ」などのコーチ陣を揃える。合宿を行いコーチとの間で真剣な議論が交わされる。コーチの与える課題をスイスイとこなす人もいるが泣きながらダメ出しを食らう人も出てくる。その様子は適時流されてゆくが「脱落方式」になっておりメンバーは次第に減ってゆく。

維新はこの様子をYouTubeなどで公開するが「維新以外の政党に属していてもいい」という条件をつける。そして「維新が負けた場合、公認権は差し上げます!」と宣言すればいい。

これこそ身を切る改革だろう。

韓国のある番組では視聴者は「国民プロデューサ」と呼ばれていた。軍政からの民主化を国民運動で勝ち取った韓国ならではの感覚がエンタメにも持ち込まれている。このように民主主義国においては政治とエンタメの距離は近い。

候補者はこの国民プロデューサの判断で脱落してゆく。維新は「インタネット世論調査を参考にする」と言っている。これが現在の維新の限界なのだろう。政党が議論を主導したいという下心が見える。

ただしそのやり方には国民性があり「韓国のやり方を真似すればいい」というものでもない。アメリカ合衆国はディベートを好む文化なので政党同士のディベート合戦がスポーツ化している。

おそらく日本には日本独自のやり方があるのだろう。石丸新党は候補者選抜を公開するとしているようだ。石丸氏が「プロデューサ」ということになる。

もちろんこのやり方には弊害がある。まず国民プロデューサ方式は不正操作につながっている。この事件は単なるエンターティンメントのおふざけとはみなされずプロデューサーが捜査当局に拘束された。

韓国は大統領が内乱罪で拘束されたが裁判所に暴力的な襲撃事件がおきた。アメリカ合衆国も最終的にはリアリティタレントだったドナルド・J・トランプ氏が大統領になった。トランプ氏は初日に大統領令署名ショーを行いペンを支持者に投げ入れるパフォーマンスを行っている。アメリカ合衆国ではショーとしての政治公約とその実現手段に乖離が生まれている上に一部政治による暴力の容認の動きもある。

このようにエンターティンメントは人々の心に直接作用するため有権者が過度に政治に没入する危険性をはらんでいる。だが日本の場合は「そもそも政治との距離が遠すぎて冷笑的ににしか政治を語らない人が多い」という特徴がある。あくまでも用法用量を守った運用が必要だ。

おそらくこの文章を読む人はそれほど多くないのだろうし政治をエンタメとして扱うのはフザケていると考える人がほとんどだろう。維新としても有権者をコントロールしたいと考えているはずで「最後の意思決定を有権者に投げ出す」ところまでは考えないのではないかと思う。

だが仮に政党に有権者を増やしたいと考えるならばそのヒントは政治の外から持ってくるべきではないか。

維新がどのような予備選を提唱しているかはわからないが、一度(石丸氏に取られる前に)高橋弘樹氏あたりに企画を依頼してはどうかと思う。

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