ニュースはトランプ大統領関連の話題で盛り上がっているが日本でも通常国会が始まる。これまで自民党は政策調査会を通じて利益分配を行っていた。しかし、少数与党に転落したためここに立憲民主党などを加える。与野党対立ではなく「総合的にバラまく」という方向で議論が進みそうだ。一種の翼賛体制が作られつつあると言ってよい。
一方で石破総理は地方創生2.0という新しいビジョンを掲げた。これについてどんな議論があるのか検索をしてみたがほぼ何も引っかからなかった。世間は石破総理の政策にはほぼ何も期待していないようだ。
アメリカの世界戦略の一部に組込まれてきた日本は安く設定された円を使ってアメリカにモノを輸出する製造業大国として高度経済成長を成し遂げた。自民党は基本的な国家戦略を作る必要はなく、単に分配政党として機能してきた。
当初は自民党政策調査会で利益分配を行うのが通例だったが、政治とカネの問題で公明党と連立を汲むと政策調整という名前の利益分配に公明党が加わった。
更に少数与党状態に陥ったことでこれまで排除してきた立憲民主党なども加える必要が出てきた。
国民が期待するような政策コンペは行われず(そもそも政党にそんな発想はない)分配に向けた協議が始まったようだ。立憲民主党は給食無償化を求めている。また維新は別の協議体を作っており教育無償化を推進したい考え。財源議論はなく「誰にどうバラまくか」の議論が始まってしまった。
表向きは与野党対立を演出し続けることになるだろうが実質的には国家予算を背景にした翼賛化が進んでいると見るのが妥当なのかもしれない。
石破総理は念頭から地方創生2.0を掲げてきた。共同通信は防災インフラの整備と政府機関の地方移転推進の表明が行われるとしている。
令和の日本列島改造と位置付ける地方創生では「産官学の地方移転と創生」や「新時代のインフラ整備」などを掲げ、防災庁をはじめ政府機関の地方移転を推進。世界一の防災大国を目指して災害対策の知恵や技術を海外に発信し、防災を新たな産業の柱とする。
首相施政方針、地方創生は分散型 賃上げ最重視「成長戦略の要」(共同通信)
石破総理は年頭から繰り返し地方創生2.0について語っているため何か反応があるかもしれないと検索してみたが反論記事すら見られないという状態だった。取り立てて反対するほどの着想ではないものの、かといって期待もできないと言う程度なのだろう。
政府はさまざまな地方強化策を打ち出してきたが少子高齢化と東京一極集中を是正できていない。背景にある問題は複合的だ。
そもそも地方には観光業以外の産業がない。かろうじて半導体工場を誘致する動きがあったがトランプ政権はアメリカ画集国への製造業回帰を進めている。
しかし単に仕事がないだけではない。地方からは若い女性の流出も進んでいるようだ。地方には古い価値観が根深く残っており「地方にいても女性は活躍できない」という諦めがあるのだろう。テレビ局も中央の流行をキラキラと「垂れ流して」おり地方の生活が惨めに見える。
Quoraでそんなことを書いたところ「中央にいる人は地方創生2.0のポテンシャルをわかっていない」とする反論がついた。地方に若手官僚が分配されることによって「裁量のある若手」が新しい何かを想像するだろうというのだ。
確かにこの主張には一理あるだろうと感じた。仮に石破総理の主張が裁量のある若手を地方に送り込めば地方が活性化される可能性がある。だが官僚にとっての裁量とはなにか。それは「今使える予算」と「将来の裁量=出世の展望」だろう。
石破総理が中央省庁改革を進めて地方自治体に予算を分散させればおそらくこのような新しい可能性も生まれてくるのだろう。しかし仮に自民党政権に意欲があれば地方自治体への財源移譲(デリゲーション)はすでに進んでいたはずだ。
識者の地方2.0に対する期待の薄さは「中央省庁が今持っている権限を手放すはずなどないし石破茂総理に改革などできるはずもない」という了解に基づいているのだということがよく分かる。
支持率が低い自民党の支持率が低い総理大臣が国の形を大胆に変えることなどできるはずはない。あくまでもガッチリと「おサイフ」を握った財務省の機嫌を取りつつ、その一部を野党に配って機嫌を取るしかない。世間はおそらくそう考えているのだろう。
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