Quoraのスペースは情報提供を目的にしているが、ブログではかなり自分の意見を書いている。このときに「オールドメディア」に軸足を置くか「ネットの声」に軸足を置くかで迷うことがある。読み手の意見を聞いてみたいところだが「私」を主語にしたリクエストは少ない。日本人は主語を私にして意見を述べることを自身に許してないからだ。ただ、扱うトピックによって閲覧数は上下する。
今回のテーマは森山幹事長に対する評価だ。オールドメディアとインターネットで意見が異なる。
読売新聞は「森山幹事長の老練さのお陰で国会はなんとかもっている」と好意的に森山幹事長を評価している。それぞれの野党の活躍の場を与えつつも「勝ち組を作らない」戦略が効果を出しているというのだ。それは単なる「民意の分断では?」と思うのだが、ズルさに「賢さ」という価値を混ぜ込みたがる日本人らしい受け入れ方だとも感じる。
また森山幹事長は多数派工作も進めている。現在自公合わせて215議席しかなく過半数の233に足りない。この程、三反園訓氏の自民党入党が決まった。また、広瀬建氏も入党の見込みだ。これも個人的には「有権者の中には無党派だからこの候補者に投票した人がいるのでは」と思うのだがメディアはこれを老練さとして評価しているようである。
日米同盟を基軸にした安定を肯定的に捉える読売新聞は自民党を中心にした安定した政権こそが日本のためになると考えているのであろう。ただし倫理や政策の実効性にはさほど興味がなさそうだ。このため「老獪・老練なごまかし」であっても結果的に政治の安定に寄与するならばそれでよしと考えているのかもしれない。
確かに日本には
- 問題解決型の政策立案を通じて日本を確かな成長軌道に引き戻すべきだ
- 人権や民主主義といった「崇高な価値」を守ることで日本を精神的な先進国たらしめるべきだ
と主張する人は少ない。その意味では読売新聞の考える「その場しのぎの弥縫策を積み重ねてでも安定を維持するべき」というオールドメディア型の提案に賛同する人も多いだろう。
しかしネットの意見はそれとは異なっている。「キレイゴト」に期待する人が少ない分だけ「財源財源とうるさく言うな」とか「現役世代はこれ以上の負担に我慢できない」とする感情的でまとまりがない声が高まっている。Yahooニュースのコメント(財源)を見ればこの傾向がよく分かる。
こうした感情的ないらだちはアメリカ合衆国でトランプ政権を誕生させている。現在イーロン・マスク氏が同じような政権をイギリスとドイツに誕生させようとしている。イギリスでは政権打倒を企てた(「英首相批判のマスク氏、退陣も画策か 関係者と協議の報道」)と報道されており、ドイツでもAfDを支援している。
ただマスク氏の主張は中間層の理不尽な怒りを背景にしたものであることも確かだ。この潮流はヨーロッパ全土に広がりつつある。ハンガリーとイタリアはすでにポピュリズム化しているがオーストリアもその流れに乗りそうだ。またカナダでも政権交代が噂されている。野党の党首は「庶民派」だそうだ。
個人的には財源の裏打ちがまったくない減税など行うべきではないと思うのだが、かといって今の政権を支援するつもりには全くならない。結果的に変化を拒み閉塞感を抱え続けるのか理不尽さに身を任せて現状を打破してゆくのかという極端すぎる二択しかないことになる。
当ブログの読者が「どちらを求めているのか」のかはよくわからない。あるいは極端な選択肢しかない現在でも「偏りがないニュース(おそらくそんなものはありはしないと思うのだが)」を求めている人もいるかも知れないとも感じる。