トランプ氏の国境・関税問題恫喝により不安定化していたカナダの政局に「進展」があった。トルドー首相が辞任する。
カナダは2025年に総選挙を行う必要があるが、まずは自由党の代表戦を行い党勢の立て直しを図る。現在の自由党の置かれた状況は岸田政権末期の自民党の状況に極めて似ている。
REUTERSによるとトルドー氏は自由党代表を辞任する。国会は3月24日まで休会になるため不信任案決議は早くても5月になるそうだ。
つまりまず自身が辞任して自由党の党首選挙を行う。これは日本の自民党が議会解散を先送りにし総裁選挙を前倒ししたのに似ている。様々な政策提案が行われることになるため国民の期待が高まり自由党の下野を防ぐ効果があるということなのだろう。
2024年はG7加盟国にとって苦難の年だった。イギリスとアメリカ合衆国では政権交代がおきた。ドイツも連立政権が崩壊しフランスは首相が次々と入れ替わっている。どの国も中間層の疲弊と財源問題を抱えている。
総裁選挙を行い自民党への期待を再扶養させようとして失敗した日本も例外ではない。
財源問題を棚上げしたままで与野党政策バーゲンセールが行われているが自民党と公明党は少数与党同盟に転落している。石破総理は「幅広い・個別の」政策協議を複数走らせて野党の分断を図るしか政権延命策を打ち出せないのが実情である。
例外的に安定しているのはすでにポピュリズム化しているイタリアのメローニ政権だけである。
2025年は先進国の民主主義にとってますます厳しい環境になるのかもしれない。背景にあるのは中間層の不満であるが、どの国もこの不満を払拭する切り札を持っていないのが実情だ。