ざっくり解説 時々深掘り

Twitterの議論が不毛なのはそこに智恵がないから

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今日のお話はいささかお説教めいている。すこし身近にしたいので「Twittter」という誰もが不毛だなあと考えている題材に落とし込むことにした。Twitterにはなぜ俺より馬鹿なやつしかいないのかという問いを置いてみた。
Twitterには多くの情報が乱れ飛んでいるが、解決策は落ちていない。
情報とはデータをある目的のために並べたものである。Twitterではデータはしばしば「Fact(事実)」とか言われる。事実には、原因とその結果が含まれるようだが、これらはごっちゃにされることが多い。情報には物語も含まれる。これはどちらかといえば情報が先にあり、情報に合うように事実を並べたものである。
宇宙を例に出すとわかりやすい。データや事実に当たるものは星だ。これを宇宙を航行するために並べ替えたものが情報になる。神様が宇宙を創ったからという理由で地球を中心に並べた惑星図を物語といい、「あの星がペテルギウスの形に見えるのはペテルギウスが空に昇ったからである」というのも物語である。物語は事実を解釈したものだが、解釈に沿って事実を並べ替えることもできる。これは「原理主義的な」と言われたりする。
さて、情報が必要になるのはどうしてなのだろうか。星の例で言うと宇宙を航行する必要があるからだろう。つまり行動が伴うと情報が必要になる。行動が必要なければ情報はいらないのだ。Twitterの議論がくだらないのは人々が行動しなくなったからであると置ける。
さて、ここまではデータを動かないものとして考えているわけだが、実際にはデータが蓄積されてくると、ある程度の予測ができるようになる。行動指針のことを「洞察(インサイト)」などと呼ぶ。さらに重要なのは、星と違って人間が作った事実は変わりうるし変えうるということだ。変わらないものを受け入れて、変えられるものを変えてゆくことにはいろいろな呼び名があるのだろうが、ここでは智恵と名付けたい。
智恵はTwitterだけではなく、あらゆるところで欠如している。最初のうちには「みんな馬鹿だから」智恵がないのだと思っていたのだが、どうもこれは正しくないようだ。そもそもTwitterで他の人が馬鹿に見えるのは、人の位置がそれぞれ異なっているからだ。つまり、その人の立ち位置から見える「事実」はその人が一番よく知っている。どう見えているかというのも事実の一種なので、他の人よりもいろいろなことを知りうる立場にいるということになる。だから他の人が馬鹿に見えるのだろう。
日本人が智恵を扱えない原因の一つとして考えられるのは、日本の教育がデータと簡易的な処理方法の詰め込みに力を入れており、得られた知識をそれをどう生かすかということについてはあまり力点を置いていないからだろう。これはキャッチャップ型の工業後進国には即したやり方だが(物理法則は変わらないので事実の変化を伴わない)のだが、サービス産業主体(ソリューションベース)の先進国にはふさわしくなかった。
次の理由は社会のプレイヤーが智恵の領域にアクセスしないことによって生じる。例えばマクドナッルドのバイトは来たお客さんにできあいのハンバーガーを提供するという仕事だけを行っている。ここに来て、お客が自分のニーズを伝えて「それに合うようなものを作ってくれ」と頼んでみると良い。マクドナルドのバイトは多分怒り出す。さらにバンズの置いてある位置やバーナーの位置をちょっと変えてみる。多分、バイトはハンバーガーが提供できなくなってしまうだろう。
たぶん、これと同じことが社会全体に起きている。時代が変わると経年劣化や変化が起こるので、事実そのものが変化してくる。ところが日本の教育は変化を扱えないので、溜め込んだ知識にほころびが出てくる。するとほころびを取り繕うために時間を取られるので、知識を洞察に変えたり智恵を溜め込んでゆく時間がますますなくなる。つまり忙しいので智恵を貯める時間がないということになる。智恵が貯まらないと現実に即して行動を買えてゆくことができないのでますます忙しくなるというわけだ。
本来は「我々は智恵を持つべきか」というようなことを書きたいのだが、これはマクドナルドのバイトに経営マインドを持つべきだと言っているのと同じことなので、言うだけ無駄だと思う。しかし、データだけがいくら集まっても、それが智恵に昇華するということはない。どちらかというとたまり続けるデータとその加工に翻弄されることになる。これはビックデータを扱った人なら経験があることだろう。だが、この感覚もデータに埋もれてみないとわからないことだ。
つまり、データの氾濫に疲れ果てて「なんとかしなければならないのでは」と思った時に大きなチャンスがあると言える。疑問と違和感の中には解決のために鍵が隠されているのはずなのである。

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