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やっぱりやっていた? 斎藤元彦知事の公職選挙法違反の根拠が見つかる

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ひさびさの斎藤元彦ネタである。告発が受理されていて斎藤元彦氏と立花孝志氏に対する搜査が行われている。また稲村陣営も被疑者不詳のままで選挙妨害の告発を出しており受理された。読売新聞が斎藤氏本人のメールを取り上げている。仮に事実とすれば公職選挙法などに違反した根拠が見つかったことになる。これが証拠として認定されれば斎藤元彦知事の当選が無効になり選挙がやり直されることになるだろう。

この一連の話を観察していて「不思議だなあ」と思うことがある。有権者の対応が理解できない。

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読売新聞の記事には次のように書かれている。

兵庫県知事選(11月17日投開票)でPR会社代表が斎藤元彦知事側から「広報全般を任された」と投稿サイトに書き込んだ問題で、告示前の10月上旬、斎藤陣営の広報担当者から「SNS監修はPR会社にお願いする形になりました」とのメッセージが支援者の一人に送られていたことが関係者への取材でわかった。

「SNS監修はPR会社に」、兵庫県知事選前に斎藤氏側が支援者に送信…担当者「答えられない」(読売新聞)

公職選挙法が許容する支出は「実費のみ」であるり、PR戦略の立案と実施に対価を支払ってはならないとしている。仮に支出なしにPR戦略を立案したとなると今度は「寄付」の疑いが出てくる。法律の構成上は公職選挙法とは別の枠組みに抵触するようだ。

このため弁護士は「PR戦略は斎藤陣営が主体的に立案しPR会社は実務(ポスターの印刷)を担っただけ」としていた。今回は弁護士の主張が崩れたことになる。弁護士事務所は対応に苦慮しているものと見られ読売新聞の取材には答えなかった。

これを受けてYahooニュースのコメントには「やっぱりやっていたのか」というコメントが多くついている。

今回の件で不思議に思うことがある。政治は健全な民主主義を守るためには投票率の向上が欠かせないとしている。ところが現役世代には既存マスコミが浸透しにくくなっているのだからWEBを使ったオンラインのコミュニケーションが欠かせないと考えるべきだろう。

しかしデジタル非ネイティブの人たちが主体であるため、政治家はオンラインコミュニケーションが下手くそだ。仮に健全な民主主義の保持というオブジェクティブを達成することを優先すれば専門家の知恵を入れることは有益という判断になるはずだ。

だが既存の政党は「今の状態でWEB選挙が導入されると自分たちに不利になる」と考えてしまうためオンライン広報に抑制的なルールを導入しようとしている。結果的に現役世代の「知る権利」は阻害される。

これについてコメント欄で意見聴取を進めてきた結果ある結論に到達しつつある。

現役世代はデジタルツールに熟達し「メリット・デメリット」を判断したうえで「正しい」判断をしようとしている。しかしこのときに「既存のルールは自分たちのためになっていないのだから変わるべきだ」とは一切考えない。そもそも「自分たちが何を考えているのかを積極的に伝えよう」という意思がないようである。

当初は「当事者たちは変えたい・伝えたいという意思を持っている」がそれが「何らかの理由で抑圧されている」と考えていた。だが話を聞き進めるうちに「そもそもそんな発想がない」と考えたほうが自然であると気がついた。かごの中で飼われている小鳥が外に飛び立とうとしないのに似ている。完全受益者であり能動的に働きかけようという気持ちがそもそも最初から存在しない。

ではなぜそんな事になったのか。

現在の制度に異議申し立てをしている人たちを見ると

  • 不機嫌な金切り声(既存のリベラル)
  • 破滅的な制度の破壊者(新興の「改革」政党)

しかいないと気がつく。つまり異議申し立てをする人たちはどこかみっともない人たちだと思い込んでいるのではないか。

アメリカの政治を見ていると「自分たちのためにならないルールは変更されるべきだ」と有権者たちが自然に考えていると気づく。背景にあるのは「説明」の文化だ。犯罪者でさえも「マニフェスト」と呼ばれる論文を書いて自分が犯罪に至る動機を克明に伝える傾向がある。学校の進学や就職に関して「自分がこの学校や会社にふさわしいのか」を文書にすることが多い。これをエッセイと言っている。

確かに論理的に破綻している人も多いが(犯罪者のマニフェストにはそういう傾向がある)普通は自分の要求を伝えて政治に反映される当手順が踏まれる。こうして暫時制度改定が行われるため効率的な社会が実現するのである。

このアメリカの発想から「人々は何らかの欲求を持っており」「それが抑え込まれている」と考えてしまうのだが、そもそもそんな発想は日本人にはないと考えると今の政治現象が割とよく説明できる。日本が成長できなくなるのは当たり前だ。時代に合わなくなった制度が変わらないままで人々が制度に合わせて生産性の低い無駄な時間を過ごすことになる。

これが「あるべき姿」とは全く思わないが少なくとも今起きていること(政治の膠着と低成長)が説明できてスッキリした。

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Comments

“やっぱりやっていた? 斎藤元彦知事の公職選挙法違反の根拠が見つかる” への1件のコメント

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    たしかに日本だと「ルールを変える」という行動が控えめに感じますね。よってルールを変えないで我慢するか、「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」という発想で平然とルールを破るかのどちらかが多くなるわけですね。
    私も、所属している派遣会社が社会保険料を最初の2ヶ月払っていないので指摘したら、「社会保険制度の問題」をいきなり話し出すものだから、それを遮って「社会保険料の問題は理解できるけど、それはそれで国に訴えればいい話で、社会保険料を払わないのは問題ですよね」といったら、「はい・・・。」と力なく言われたことを思い出しました。
    そのあと理由を深堀すると、派遣は最初の2,3ヶ月でばっくれる人が多いので、手続きの面倒さとそれに対して保険料を払うことへの負担を話していました。その話を聞けば、ある程度社会保険料を払わなかった理由が分かるので、それをルールを変える方向に持っていければいいのですが、大手企業みたいな多額な献金が出来なければルールを変えることはできないと思って諦めているんじゃないかなと感じました。

    最近だと高校生が、古かったり変な校則を変えようとする動きをテレビで知りました。彼らみたいな子たちが、日本の未来をより良くするためにルールを変えていってほしいな思ったと同時に、自分の人任せな無責任さを強く感じさせられました。

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