フランス領マヨット島にサイクロンが襲来し死者が出た。「数百人も死者が出た」のだから気候温暖化がますます激しくなっているのだなあなどと感じていたのだが、ふと「数百人から数千人」という記述が気になった。
日本の台風被害では数人死者が出ただけで大騒ぎになるが「そもそもどれだけ死んでいるかよくわからない」ということになる。先進国が統治する地域でそんなことが起こり得るのだろうか。
- マヨット島はフランス領だが生活水準は低くフランスからの援助に頼っている
- 人口は32万人だが非正規移民も多い
- 人口の約75%が貧困ライン以下の生活を送っており、3人に1人が失業している。
- チドは最大時速225キロメートルの突風をもたらし、複数の集落が壊滅状態になった。住民はその場しのぎの避難所に身を寄せている。
詰んでいる。
時速225キロの突風は秒速換算すると60メールとになるそうだ。日本でもたまに観測されることがあり「トラックが横転するほどの被害」などと表現される。確かに甘く見てはいけない苛烈な突風だが、それでも日本のように対策すれば犠牲者は最低限に減らすことができるはず。
だがそもそも死者数が確定しない理由がわからない。AFPの記事を読むと不法滞在が増えているという。32万人の島に10万人単位の不法滞在者がいるそうだ。つまり域内にどれくらいの人がいるのかを管理できていない。
フランス内務省によると、マヨット島には約10万人が不法滞在していると推定されており、正確な犠牲者数を把握するのは二重に困難となっている。
インド洋の仏マヨット島にサイクロン襲来、数百~数千人死亡か(AFP)
日本でも「災害に備えて緊急事態条項」をなどと言われることがある。マヨット島も政情が不安定化してるそうで夜間外出禁止令が出ている。平たい言葉で言えば「民度」に不安がある場合は外出禁止令や緊急事態条項が必要になるということがわかる。だが、日本が同じ状況になるとは考えにくい。むしろ災害時には「民度」が上がり助け合うのが日本人である。災害を例に緊急事態条項を議論するには無理があると言えるだろう。
このマヨット島の移民の「輸出元」はコモロ連合やアフリカ本土だそうだ。マヨット島は地理的にはコモロ諸島の一部だが投票の結果フランスの海外県に残留することが決まった。
マヨットには、近くの島国コモロ連合やアフリカ本土から「クワッサクワッサ」と呼ばれる小舟などに乗って毎年数千人が上陸を試みている。現在ではマヨットの人口約32万人の半数近くを移民が占めていると推定される。
フランス、不法移民を強制送還 海外県マヨットからアフリカへ(AFP)
マヨット島はフランスのスタンダードでは「貧困」なのだが実はコモロ連合よりも生活水準が高い。このためアフリカに留まるよりもマシということになり命の危険のある小舟に乗ってマヨット島を目指す人が後を絶たないようだ。結果的に島の1/3が難民だいや半数近くだという悲惨な状態になっている。
ただしマヨット島に上陸したとしてもEUに上陸したことにはならずヨーロッパ渡航するためにはビザが必要。また福祉水準もフランス並ではないそうだ。
死者数が数百人か数千人かがわからない背景はヨーロッパとアフリカの生活格差だったこということにある。
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