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経済が分からない左翼と英国の原発への投資問題

イギリスで原子力発電所を建設するために日本が資金提供する用意があるというニュースをTwitterで見た。イギリスにくれてやるなら貧困対策に回せというような趣旨だった。またサヨクの人が騒いでいるなと思った。
調べてみたところイギリスではニュースになっておらず、業界紙の他にはNHKとJapan Timesの記事が見つかっただけだった。どうやら日本政府がイニシャルの資金を提供するという話らしい。これを普通の経済用語では投資という。イギリスに「くれてやる」わけではなく、基本的にはあとで回収すべきものである。
社会学系の先生が多分「援助」と「投資」の違いがわかっていない点は問題だ。英語は堪能なはずで調べれば状況はよくわかったはずである。が、投資と援助の違いはもしかしたらわかっていないのかもしれない。あるいは原発なので脊髄反射的に反応した可能性もある。
この投資の背景には何があるのだろうか。資金調達の問題があったとする業界紙を見つけた。もともとイギリス政府は自国の税金で開発のイニシャルコストを賄おうとしていたのだが、住民が反発したためにそれを日本政府が肩代わりしますよということのようだ。
日本人がこのディールに反発しないのは、納税者が政府支出の半分しか負担していないからだろう。現在政府はほぼ無利子で資金調達ができてしまうので、政府調達資金についてもあまり危機感を持たないのだろう。ヨーロッパ諸国は政府の借金を制限する方向にあるので、大きな温度差が生まれることになる。
これをどう考えるかは微妙なところである。日本の原子力発電所開発はほとんど不可能な状態なので、産業を維持するためにはどこか別の国に頑張ってもらうしかない。しかし、そもそも原発が衰退産業化しており、ライフタイムのコストが予測できない(重大事故が予測できない上に損害が青天井になる)という致命的な問題を抱えている。つまり国のコストをかけてまで原発産業を守るべきなのかという問題がある。
イギリス人は自分で金を出すので真剣に議論するが、日本人には危機感が薄い。これが国債を無制限に発行することの最大のデメリットなのだ。このことは副次的な問題を生み出す。
日本政府の資金保証能力にはかなりの疑問符がつく。オリンピック招致の際に安倍首相はドヤ顔で「日本政府が資金調達を保証する」といったが、予算を膨張させた挙句「政府が出せ」とか「東京都が出せ」という話になってしまった。森元首相が予算を膨らませる中、何も言わなかった。予算保証するためには見積もりを取る必要があるのだが、日本政府には基本的に見積もりを精査する能力はなさそうだ。
これは例えれば、銀行が資金保証をする時にその見積もりを借り手に頼っているみたいな話である。家を建てる人が1000万円で家が建つと自己申告し、あとで「トイレを豪華にして、寝室を1つ増やしたい」ということだ。だから追加の5000万円を貸せということになる。そして「ない金は払えないからあるとき払いで頼むと」言う。庶民はこんなことはできないがオリンピックではこれが通ってしまうのである。
最後の問題は少し見えにくい。日本が南スーダンで非難されているという話を読んだ。もともと国連は現地政府の要請で入ったわけだが、政府そのものが暴力化しつつある。しかし日本は利権が欲しいので政府との関係を断ち切れないようである。現在は南スーダンに武器の流入を制限するかという問題になっており、日本とアメリカなどの先進国が国連で対立している。支援で調達した武器が政府を通じて民族浄化に使われているのである。
日本政府は法整備上も政府が機能しているという前提でしか自衛隊を派遣できない。自衛隊がいなくなるとこれまでのインフラ整備がただ働きになってしまう。そこでずるずるとアメリカなどに非難されながらも南スーダンにコミットしてゆくことになっているようだ。つまり、利権を確保するために物語を作ってしまう癖があり、状況の変化に対応できないのである。
背景には「自衛隊の人件費がタダ」という問題がある。つまり最初から投資という視点が働きにくいのだ。
サヨクの人たちが経済を理解しないので表面的で的外れな批判に終始してしまうのだが、実際には幾つもの問題があるわけである。まとめると次のようなことになる。多分経済記者などは分かっているはずだが何も言わない。つまり、まともな批判がないので、政府が堕落するのだ。

  • 日本政府は資金調達に対して甘すぎる見通しを持っている。
  • 日本政府にはプロジェクトの見積もり能力がない。したがって返済の見込みがなくてもお金を貸してしまう可能性が極めて高い。
  • 日本政府は物語に従って投資を正当化するので状況が変わっても撤退ができない。そのため問題が取り扱い不能になるまで孫が膨らむ可能性が高い。

政府は国民の主権を減らして国が事業に直接関与するようになれば、競争力が増すと考えているよだ。これが憲法改正への動機の一つになっている。だが、実際にはかなり悲惨なことになりそうだ。多分国民は「非正規雇用化」されて、正社員(官僚)や役員(政治家)のために働くことになるのだろう。


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