産経新聞が維新について書いている。「エサも付けずに維新が釣れた」と自民党が高笑いしているという。
産経新聞が維新の迷走ぶりを書いている。維新の前原新共同代表は教育無償化などについて協議する協議体を作る代わりに補正予算に賛成することにした。このときに書面による取り決めをしなかったために一部の議員が「アホやないか」と反発したというのだ。
維新をうまく引き込んだことについて、自民重鎮は「野党同士を競わせるのがうまくいったということだろう」と論評し、別の自民ベテランは「エサもつけずに魚が釣れた」と高笑いした。
党内からも「アホやないか」 維新が補正予算めぐり迷走、組み替え動議提出も政府案に賛成(産経新聞)
維新がアホなのは今に始まったことではない。特に前原誠司氏という前科・前歴が多い人に国会対策を任せたのはアホとしかいいようがない。
前原氏は左派アレルギーが強い人でその時に人気がある人にふらふらと近づき見捨てられることが多い。過去に小池百合子氏と玉木雄一郎氏に接近して失敗している。おそらくそのたびごとに「自分なら彼らをコントロールできる」と思い込んできたのだろう。だが前原氏にはそれは無理だった。
ただし「アホ」と言った人に高等戦略があるわけでもなさそうだ。
要するに
- もっとゴネたらもっとなんかもらえるんちゃいまっか?
と言っている。
これを「正論」というところに救いがたさも感じるが、まあもともと一部の優秀な幹部を除き全体としてはこの程度の政党なのだろう。
維新古参メンバーは「『維新は正論を吐いて筋を通してくるから、ちゃんと向き合わないと面倒臭い』と思わせる絶好の機会だった。今の永田町のスピード感に全くついていけていない」と嘆いた。維新中堅は「立憲民主党や国民民主党よりも3つぐらいグレードが低い条件を握らされて賛成に回ってしまった。アホやないか」と毒づいた。
党内からも「アホやないか」 維新が補正予算めぐり迷走、組み替え動議提出も政府案に賛成(産経新聞)
ただ冷笑的に「維新はアホだなあ」と言ってばかりではなんの分析にもならない。
維新は有権者に分配できる何らかの成果を求めている。もともと大阪府市の自民・公明の既得権益を分配して支持を集めた義賊政党だがそろそろ彼らが既得権益化しつつある。そこで与党協議に参加して「何らかの新しい分配(つまりおねだり)」を勝ち取る必要がある。それが「教育無償化」である。
維新はとにかく配り続けるしかない政党なのだ。
その背景には何があるのか。
日本は成長を諦め資産取り崩しフェイズに入った国だ。これが進めば進むほど成長によって経済のパイを増やすよりもこれまで蓄積した資産の分配を求めるほうがラクになってゆく。このシステムはやがて破綻するだろうが少なくともしばらくは労せずして食べてゆくことができる。その意味では維新も大きなトレンドに乗っているだけと言える。
EUはこうした形の破綻を許容しておらず加盟国に財政規律を課している。このためフランスでは身動きが取れなくなり当確と再起動を繰り返す。金融システムそのものが破綻することはないためおそらく日本よりは衝撃が少ないのだろうが、それでも政治状況は破綻寸前と言った様相だ。
日本は労働組合に支えられた(つまりあまり分配を必要としないため妨害に専心できる)政党が与党を邪魔することによって与党の持っている延命の負担を有権者が被らないようにするという構造ができつつある。財政再建路線を掲げる自民党も地方議員たちを食べさせてゆく必要があり政治の清浄化ができず身動きが取れない。
過去に蓄積された資産は企業と高齢者が蓄えている。彼らは所有権を放棄しないため形式的には「借りた」形になっている。実際にシステムが破綻したとき(それがいつになるかはわからないが)には海外に資産を逃がしている人たちとそうでない人たちの間に差が生まれるのかもしれない。