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予定調和的に補正予算が衆議院通過

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補正予算案が予定調和的に衆議院を通過した。国民民主党は自民党が自分たちの案を飲むことはないとわかっているが予定調和的に賛成し、予定調和的に警戒感を緩めていない。また自公国で予定調和的に補正予算が通ることはわかっているため立憲民主党は予定調和的に安心して反対することができた。有権者はこの状況を好ましいと考えていて安心して不支持を伸ばしている。

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補正予算案が自民・公明・国民・維新などの賛成で衆議院を通過した。補助金などの支出を増やす内容のため(財源議論を除けば)誰も反対する必要のない予算案だ。限られた財源しかなければ効果的な使い道についての議論もあっただろうが国債は無尽蔵だという暗黙の前提が置かれている。それは財務省がなんとかするだろうということだ。

国民民主党は選挙で高すぎるハードルを掲げている。本音では与党協議に加わり存在感を発揮したいのだろう。時期や額が曖昧な「合意」を大きな成果として強調してる。しかし、建前上「物を言う第三者」という位置づけは崩しておらず「警戒心を顕にしている」と報道されている。微笑ましいプロレスぶりだ。

もっとも、自公国の協調が続くかは見通せない。来年の引き上げ幅を含め、どのような道筋で「178万円」を目指すかは今後の協議に持ち越され、国民民主幹部は「油断できない」と疑いの目を向ける。公明幹部は178万円の実現時期について「20年代中だ」と話す。

補正予算、ぎりぎりで妥協成立 「少数与党」最初の関門―政権運営の厳しさ浮き彫り(時事通信)

立憲民主党は能登半島地震の対策費を盛り込ませることに成功したが「自民党に取って代わる責任政党」というポーズを取り続ける必要がある。国民民主党が賛成に回ってくれたことで安心して反対することができた。根本的な問題があり賛成できないと言っているが、野田佳彦氏のXに根本的な問題が何なのかの説明はなかった。

おそらく自民党の予算であるというのが唯一の根本的な問題なのだろう。

なぜこのようなことになるのか。

現役世代に水戸黄門志向が強まっている。日本人は権力と一体であることを望む。長いものには巻かれたい、無駄な抵抗はしたくないという気持ちが強い。しかし現実は必ずしも庶民に都合の良いものではないため「悪代官がいて現実が歪められている」と考える。さらに自分たちで政治をなんとかしようという気持ちもなく「権威が悪代官を成敗してくれる」のを待っている。財務省などが悪代官になる。

ただこれは現役世代だけの問題ではない。石破政権の不支持率は上がった。だが現状に満足している人は多い。どの政党も支持しないことで増税などの嫌な問題を回避できるだけでなく各政党がこぞって分配政策を提案してくれると有権者は学習しつつある。

与党が衆院で過半数を割り込み、野党の協力がなければ法案や予算案を成立させられない現状を好ましいと思うかとの質問には、44.1%が「思う」、30.1%が「思わない」と答えた。

内閣支持、微減26.8% 企業献金禁止、賛成4割超―時事世論調査(時事通信)

筋肉をつけるためには負荷を少しづつ増やしてゆく必要がある。これを人は成長という。しかし現代では成長を目指しても疲れるだけだと多くの人が本能的に感じている。将来的には増税や社会保障負担の上昇も予想されるのだから無駄な消費(その無駄こそが新しい製品を生み出したりするのだが)も控えようと考える人が増えるだろう。

日本は成長しないと簡単に予想できる。

ただ、日本企業はこれまでの儲けの蓄積を蓄えておりしばらくは余力で食べて行ける。つまり、日本は資産取り崩しフェイズに入った。国際収支発展段階説によると資産取り崩し期は数十年続くと見られる。ただ、これがどの程度続くのかについて定説はない。

資産取り崩し期には「成長の抑制」が起き、システム(厳密には過去に蓄えられた資産)への依存が起きる。この状態を好ましいと思うか思わないかは人それぞれなのだろうがそもそも批判をする前に現状を認識する必要がある。

政権政党である自民党の中にはシステムの延命を目指す人達がいる。ところがそれは有権者の負担を予想させるため取り崩し期を早めてもいいから負担を減らせという人達がいる。ところが役割としては「反対派」に回り自民党を牽制する勢力(立憲民主党)と「部分賛成戦略」を取り分配の意思決定に関与しようとする人たち(国民民主党と維新)に別れている。

全体として「破綻に向けた翼賛体制」が作られているのだがアクターたちはおそらくそれを自覚はしていないだろう。

全体的な依存体質が強まれば強まるほど「成長」の意思や意欲ますます抑圧されることになる。流れに逆らうよりも流されたほうが消耗が少ないからだ。

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Comments

“予定調和的に補正予算が衆議院通過” への2件のフィードバック

  1. いよいよ権威が自分たちを救ってくれないとなったらという
    非合法暗殺ものの必殺シリーズも人気でしたね。
    法の支配や同階級の団結ではなく
    権威一体や暴力への志向に極端に振れやすい点を
    かつての翼賛体制までへの道程と重ねて考えるのも面白いかもしれませんね。

    1. 必殺仕事人が1979年で、ザ・ハングマンが1980年だそうです。経済成長が進み庶民が自信を付けてきたころということなんでしょうかね。