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グランドデザインが示せない 自民・公明・国民が補正予算で合意

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政府は税の設計を通じてこの国の基本姿勢を示すことができる。暮らしが良くなると思えば消費や投資が伸びるがそうでなければこのまま国の縮小が続く。このほど自民・公明・国民が補正予算で合意したが同時に防衛増税の議論も始まっている。また自民党の税調会長は「聞いていない」と当惑気味だ。

結局手取りがアップするのかあるいは負担が増えるのかが全く見えてこない。

しかしそもそも国民は政府が手取りを上げてくれることには期待していない。ようだ。そもそも国内政治ニュースに対する関心が低下している。

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日本が再び成長するためには消費者が可処分所得のアップを実感しなければならない。消費が増えれば企業収益は上がり設備投資も増えてゆくだろう。しかしながら自民・公明・国民民主には国民の期待に応える意欲はなさそうだ。

国民民主党は自民党・公明党の補正予算に協力して準与党化したい。そのため補正予算合意は既定路線だったのだろう。しかしながらガソリン減税と178万円という目標は堅持するとしていた。結果的にガソリン減税は勝ち取り、178万円も放棄しなかった。しかし「すぐに実現するのは無理なので徐々に実現します」ということになった。国民に対するメッセージングよりも説明の破綻回避が優先されたことになる。

一方で防衛増税についての議論も始まっている。防衛所得税・防衛法人税という言葉が飛び交う。国民はいったん手取りがあがってもまた増税が来ると予測するのだから消費に対するマインドセット(心構え)は変わらないだろう。したがって企業も設備投資は増やさない可能性が高い。防衛増税は所得税・法人税・その他で徴収される見込み。国民民主党が賛同するかは不明だそうだが補正予算カードは切ってしまった。同時に責任もなくなるので「自分たちとは関係がない話」として距離を置くだけに終わるのではないかと思われる。

懸念材料もある。宮沢税調会長は「釈然としない」と言っている。自公国の枠組みを優先し税調会長とは相談をしなかったようである。懸念材料は2つある。

1つは税調会長の抵抗により自公国の取り決めが反故にされるか、事実上骨抜きにされる可能性だ。

だが、税調会長が「私達抜きで議論したいならそれでも構わない」として税の全体的な調整を行わなくなる可能性もある。

そもそも国家財政と国会経営のマスタープランのようなものがないなかで細かな調整ばかりが優先されており、増税になるのか手取りが増えるのかが国民にはよくわからなくなっている。

しかし、これに対して怒る人はだれもいない。そもそも国政(税制と政治とカネ)の問題は次第に取り上げられなくなっている。税と手取りの問題についてはワイドショーで取り上げられているが「自民党案と国民民主党案ではこれくらい手取りが増える試算」がだ「まだどうなるかよくわかりません」という内容が多い。上がったら上がったで楽しみですね(上がらない可能性もあるけれど)という扱いになっている。

もともと冷笑的だったSNSの政治評論は次第に「愉快犯型」に変わりつつある。既存政党はこれを規制で乗り切りたい考えのようだがおそらく規制をいくら強めても落胆を背景にする冷笑を根本的に解決することはできないだろう。

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