ざっくり解説 時々深掘り

謎が多くてよくわからない大阪の政治事情

Xで投稿をシェア

松井大阪府知事が、八尾市の市長をTwitterでdisっていた。公共料金を上げるのに、市長や市議会議員の給与をあげるのはけしからんという。これを見て大いに驚いた。森田健作知事が市政に介入したらきっと大騒ぎになるだろう。大阪って「えげつないなあ」と思ったわけである。八尾市長は旧民主党系らしい。一瞬「工業地帯は民進党系が強いのか」などと思った。
そこで思い立って大阪の選挙事情について調べてみた。いろいろと謎が多くて「よくわからない」というのが実感だった。
まず府議会で見ると維新は第1党である。民進党(当時は民主党)も共産党もそれほど強くない。公明党もそれほどではない。だから「維新って強いんじゃないの」という印象が生まれるわけだ。だが、市議会レベルで見てみるとそうでもないらしい。

そんなに強くなさそうな維新の党

疑問 – 維新系は強いのか強くないのか。
まず驚いたのが維新の党(維新の会なのか?)がそれほど勢力を持っていないという点だった。維新の党はポピュリスト政党なので貧しい南部ほど支持が広がっている(かなり偏見を含んでますね)という印象があった。だが、実際には和泉地域では維新の会はほとんど議席をとっていないようだ。
大阪の多数派は名前を聞いたことがないローカルパーティー群だ。その意味ではイタリアの国政に似ている。諸派が乱立しているのである。
特に和泉地域の市議会議員さんたちは本部からあれこれ言われるのが嫌なんだろうなあという印象だ。このローカルパーティーが右なのか左なのかはよくわからない。多分両方含まれているのだろう。
しかし、府政ではそれなりの勢力を持っているわけだし、国政でも維新の党は南部ほど強いという調査も読んだ。大阪の人たちが国政と市政を完全に分けているか、そもそも市政に関心がないからではないかと思う。市政だけを見ると、維新は北大阪の地域政党みたいにしか見えない。府議選挙にも比較的強い(過半数は取れなかったが)ので、受け皿になる組織が作れていないだけなのかもしれない。
もう一つの可能性は組織力の弱さだ。そこで、Twitterのようなメディアでポピュリズム的なメッセージの発信をせざるをえないのかもしれない。組織を維持するにはお金がかかるが、それが捻出できないということが考えられる。このあたりが公明党や共産党(聖教新聞と赤旗が経済的な支えになっているのだろう)との違いだ。つねに刺激的な発信をしないと埋もれてしまうのだ。

壊滅しかかっている自民党

疑問 – なんで自民党はそんなに支持がないのか。大阪市でだけ支持されているのはなぜか。
正直、自民党がこんなに弱いとは思わなかった。北部ではまだなんとか命脈を保っている感じだが、和泉地方ではほぼ壊滅している様子がわかる。中には自民党が二つの会派に分かれているところがあった。なぜか大阪市会(市議会をこう呼ぶらしい)だけは公明党を凌駕している。守旧派ぶりがうかがえる話だが、利権が分配できなくなると自民党って凋落して行くんだなあと思える。
代わりに強いのが、公明党と共産党だ。自民党が国政で公明党と手が切れない理由がわかる。なぜ自民党がこれほど弱いのかもよくわからないが「昔から弱かった」という記事があった。東京にあれこれ支持されたくないという気持ちがあるのかもしれない。
大阪の自民党は共産党と手を組んだらしい。それに嫌気をさしてさらに有権者に離反されたという話を読んだ。真偽のほどはよくわからないが、まあありそうな話ではある。大阪で共産党が嫌われる理由は関東とは違っているのではとも思った。つまり、それだけ共産党にプレゼンスがあるのだ。

公明党の謎

疑問 – 府議会で公明党が勢力を伸ばせないのはなぜか。
市議会議員の数をみると公明党はとても強そうなのだが、府議会レベルで見るとそれほどでもなさそうだ。これも謎である。大阪の人は地方議会選挙に興味がなく、熱心に投票に出かけそうな公明党が支持を集めるのかもしれないと思った。しかし、よく考えてみると府議会も市議会も同じ地方選挙なのだから、なぜ違いが出るのか明確に説明せよと言われると「よくわからない」としかいいようがない。
これに関しては、そもそも情勢が見通せない地域に候補者を立てなかったという報道もあるようだ。府議選挙を細かく見て行くと一人区が多いことがわかる。公明党は複数名当選の2位に滑り込むということが多いようだ。このために全体的に議席が伸びなかったということがいえそうだ。
一人区の場合、維新と自民が対抗するという構図になっているようだ。市議会議員選挙に一人区はないわけで、公明党は小選挙区に弱いということが言えるかもしれない。つまり選挙制度を操作すると議席配分が変えられるのだ。

民進党はすでに滅びていた

疑問 – 大阪の民主党系の人たちはどこに消えたのか。
今回の資料(wikipediaです)で民進党の議員が確認されたのは北河内と北摂にまたがる四市のみだった。パナソニックが強くて連合があるのかなあなどと思ったのだが、守口と門真には民進党議員はいなさそうだ。大阪の連合がどこを支援しているのかはよくわからない。代わりに共産党が強いところを見ると、大阪の労働組合は共産党系が強いのかなとも思う。公明党と共産党が強いところをみると、大企業ではなく中小・零細企業が多いだけなのかもしれない。

まとめ

大阪が凋落したから諸派が乱立したのか、そもそもまとまれないからダメになったのかはよくわからない。
ポピュリズム的な手法に頼る維新系は、組織力(経済力とも言える)がないと存続ができない。一つだけ確かなのは継続的に経済サポートができる体制がなくなると、政党は乱立気味になりポピュリズムが横行するということである。
また、選挙区制度によって選挙の結果は大きく変わるし、必ずしも有権者の動向を政党が受け止め切れているとは言えないように思える。そもそも大阪府民が何をしたいのかがよくわかっておらず、その場の雰囲気で投票先を決めたり、選挙に行かなかったりしている可能性すら浮かんでくる。

Xで投稿をシェア


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です