ざっくり解説 時々深掘り

憧れの対象としての芸能人を演出する

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成宮寛貴さんが芸能界を引退し、写真週刊誌のあり方について疑問を感じる芸能人が何人かいたようだ。ある芸能人は、白黒でノイズの多い隠し撮り写真ばかりなのは何故なのかと疑問を呈していた。
頭の片隅にあった疑問なのだが、別のものを見ていてちょっと分かった気がする。日本の芸能界には「憧れ」という要素がかけているのである。それがわかったのは韓国に「Airport Fashion」というジャンルがあるということを知ったからだ。マーケットの狭い韓国人は時々海外に出かけて行く。逆に外国で仕事ができるというのはエリートの証でもある。そこで芸能人たちは空港にめかしこんで行く。それが憧れの対象になっている。サングラスと黒が主体のファッションが多いようだ。「スタイリストでも付いているのではないか」と思えるほど整っている。
アメリカにもceleb fashionというジャンルがある。どちらかといえば散歩や買い物などの砕けたシーンが鑑賞の対象になっており、日本にも輸出される。一番売れている男性ファッション誌はこのセレブファッションとカタログだけで雑誌を構成しているほどである。
考えてみると日本の芸能人がめかしこんで出かけて行く場所はない。テレビに出演するのがもっとも華やかな瞬間なのだろうが、衣装はテレビ局で用意されているのだろう。中には私服がダサい芸能人というジャンルもあり、何人かの芸能人が名指しされている。国内市場が大きいので海外進出する芸能人も少ない。
夜に遊びに出かける人たちもいるのだろうが、見出しになりそうなデート現場(恋愛は当たり前なので不倫がスクープの対象になる)くらいしか押さえる場所はない。すると写真は白黒のノイズだらけの写真になってしまうわけだ。
前回のエントリーでは「芸能人のプライバシーを切り売りするのはやめよう」という論調で記事を書いた。しかし、韓国は全く逆の方向性にある。パブリックスペースに整った格好で出かけて行って露出するわけである。
東京は面白い場所で芸能人がジムや街中でふらふらしていても声をかけたりすることはそれほど多くない。それはテレビと普通の生活が別のものだという認識があるからだろう。
だが、芸能マスコミは別である。彼らは売れるコンテンツを欲しがっている。憧れが売れればそれでもよいのだが、それができなくなると今度は引き摺り下ろすことで商品価値を作ろうとする。それを買う人がいる限り、こうした行為は無くならないのかもしれない。