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カジノがいいなら大麻もね

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IR法案が炎上気味だ。どうやら「賭博は犯罪だ」というのがその理由のようだ。
自民党がカジノ法案の成立を急ぐ背景には憲法改正があるらしい。大阪には、中国に負けたエリアで、目立った産業がなくこれからも成長の見込みがない。特に湾岸エリアの開発に失敗し、だれかが政治的責任を取る必要がある。そこで維新の党は万博とカジノを呼び込んで失敗を糊塗しようとしているらしい。自民党はこれを「貸し」として、憲法改正に協力してもらおうということのようである。説としては非常にわかりやすい。
さて、この法案は基本法であって細かなことが決まっていない。だから、明確には反対もしづらい。実際にゴタゴタするのは詳細を決めるときだろう。カジノを狙っている地方自治体は多いが、全ての地域の要望を叶えることはできない。大阪以外のエリアから猛反発されるのではないか。かといって地方にもカジノをばら撒けばかつてのリゾート施設の二の舞になる。今では中国人がゴーストタウンになった各地のリゾートマンションを買いあさっている。
IR法案の一番の問題は賭博そのものが今後も違法とされる点だろう。つまり、法律の成り立ちとしてはどうしても「特区を作って違法行為を黙認する」ということになってしまうのである。
個人的にはラスベガスやマカオに行ったことがあるので、賭博が犯罪とまでは思わない。だが、やはり「賭博はいけないことだ」と考えている人は多そうだ。いろいろ想像してみたのだが、大麻を例に出すと実感しやすいことがわかった。
ご存知のように大麻は中毒性がなく、統計的にもゲートウェイドラッグだという説は間違いなのだそうだ。(この件についてはロケットニュース24が継続的に取り上げている)だが、日本ではとにかく大麻はダメということになっている。これを解禁しないままで「総合リゾートの中なら大麻は大丈夫ということにする」と政府が認可したと想像してみよう。
カジノは健康増進によい影響があるという言い方はできる。非現実的な空間に浸って「明日から頑張ろう」という気分になれるからである。普通の人はちょっとスロットマシーンを扱ったからといってすぐさま廃人になってしまうことはない。同じように大麻でまどろむこともそれほどの害はなさない。たいていの場合は「パーティーがちょっと楽しくなる」だけのことである。アメリカの幾つかの州で大麻が解禁されたのも若い頃にポットを経験した人たちが政治の中核にいるからだ。オバマ大統領にとっては大麻はアルコールやタバコと同列なのだ。
この「例外」がもたらすものは何だろうか。それは政府が認可しない場所で大麻を吸っても「別にいいじゃん」となってしまうところだろう。みんなやっているわけだから。同じように賭博の現場も変わることだろう。大阪の湾岸エリアでカジノをするのがよくて、なぜ千葉ではダメなのかという話になる。
大麻の違法性が支持されるのはほとんどの人が大麻を吸ったことがないからである。だが、国が認可した大麻を吸う施設ができれば、大麻経験者は増える。ほとんどがお金持ちだろう。大麻が憧れに変わることだってありえる。同じことはカジノにもいえる。ハイソサイティの人たちがカジノを経験し、カジノを舞台にした映画が作られれば、それに憧れる人たちも出てくるだろう。
そもそも、一般人にとって「善悪が場合によって変わり得る」というのは判りにくい。いいものはいいし、ダメなものはダメということにしておきたいわけだ。それを国家が決めていいのか、つまり国家にそのような線引きをする権限があるのかどうかということが問われることになる。憲法上も一般常識上も政府にそんな権限を委託したという根拠は見出しにくいのではないか。
で、あるならばカジノを解禁するなら、一般解禁にすべきではないかということになる。つまり、野球賭博もパチンコも全面解禁しろということだ。これは一般常識的になかなか受け入れにくいのではあるまいか。賭博はいけないことだと言い聞かされてきたからだ。
 

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