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既得権の逆襲 斎藤元彦兵庫県知事に公職選挙法違反疑惑

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斎藤元彦知事の再選は様々な波紋を呼んでいるようだ。マスコミでは次第に「SNSに騙されたバカな庶民が悪い」という論調が作られつつある。ここでは今までの報道をベースにどのような事態が進行しているかについてまとめた。

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このエントリーでは「無党派層の知る権利を守るためにSNSはどうあるべきか」と言う議論は行わない。この件については別のエントリーにまとめた。

プレゼンスの低下に悩む立憲民主党のそのまた非主流派に転落した小西洋之参議院議員が2つの問題提起をしていた。一つは立花孝志氏の立候補が公職選挙法に違反する可能性だ。総務省から一般論として回答を引き出した。

次に斎藤元彦陣営がお金を支払ってPRをさせていたという疑惑を拡散した。

斎藤元彦陣営は否定してたようだが当事者であるPR会社が「大型受注」を宣伝しており斎藤元彦陣営は苦しい立場に置かれている。PR会社は悪意がなかったようだ。後に「騙された」という批判が殺到し記事を削除したといわれている。専門感の中にはSNSのPRは得意だったが公職選挙法についての専門知識がなかったのだろうと指摘するところもある。現在の公職選挙法はかなり透明性が低い状態になっている。この複雑性が参入障壁になっていて結果的に虚偽情報が蔓延する結果を生み出している。

これがメインの軸になっているのだが場外乱闘も発生している。百条委員会の奥谷謙一委員長が立花孝志氏を刑事告訴した。

さらに稲村和美陣営も虚偽通報によってXのアカウントを潰されたとしており被疑者不詳のまま虚偽通報者を刑事告訴している。

これはあくまでも個人的な見解だが斎藤元彦氏は本人に悪気がなくても「周りから様々な思惑を持った人たちを惹き付けやすい」何かを持っているようだ。また公職選挙法などの実務にもあまり詳しくないようで叩かれても仕方がないところがある。

ただ、この件について調べていると、東京15区の選挙や東京都知事選挙と比べても状況が悪化していると感じる。背景にあるのが根強い政治への不信感と漠然とした不安だ。

まず当ブログのコメント欄には「隣の大阪府・大阪市と比べると兵庫県はなにかおかしい」が「それが何なのかわからない」という声が寄せられた。またテレビの報道姿勢について「何かもやもやしたものを感じるが」それが何なのかわからないという声も挙がっている。

さらにQuoraでは「正論を通すためなら多少のインチキも仕方ない」と言うコメントがついた。おそらく既得権に不当に取り上げられたものを取り返すためには多少のルール破りも仕方がないという意味だと思うのだが、これを聞こうとすると言葉を濁されてしまった。

兵庫県民であるかないかは別にして「今の政治はなにかおかしいが、それが何なのかわからない」という人たちが増えているのは間違いがない。

SNSで飛び交う虚実入り交じった主張を見ていると「明日学校が燃えないかなあ」と無責任に考えている人が愉快犯的にネット言論に火をつけているような印象になる。

ただし、実際に斎藤陣営を応援している人達の声に耳を傾けると「むしろ真面目すぎる人たち」の姿しか見えてこない。あまりにも真面目すぎるために「もっときちんと勉強しないと政治に意見することなどできないのではないか?」と考えている。だが、与野党の政治家に期待しても状況は一向に改善しないため「自分たちの暮らしを守るためには倫理など守っている場合ではないのではないか?」「多少気になることがあってもそんな情報は無視しても構わないのではないか」と考え始めていることになる。

結果的に有権者の真面目さが倫理崩壊を起こしている。全く反省しない政治に対抗するためにはこちら側も倫理を打ち捨てるべきなのではないかという素朴かつ危険な対抗意識だ。

アメリカ合衆国の政治言論における倫理崩壊を見ると「それも既定路線なのかな」と言う気もする。だが、それは必ずしも民主主義にとって好ましい状態ではないし愉快な状態でもない。

結果的に「選挙外」でかなり怪しげな情報が飛び交っている。公職選挙法でこれらの報道を止めることはできない。週刊誌レベルの報道では両論併記さえすれば特に「名誉毀損」にも「虚偽情報」にもならない。あとは「信じたい人は信じたいことを信じてください」ということになる。そしてこれらの情報はYahooニュースでは一般ニュースと同列で扱われる。結局選挙中のSNSだけを規制しても問題は解決しないのだ。

日本の有権者が健全な倫理性を持っていたなら「どちらも悪い」という結論になりそうだ。だが、自民党の政治とカネの問題で「どうせ政治家はなにか汚いことをやっている」という印象が付き、有権者は「そもそも政治とはそんなものだ」と学習している。さらに政治家は自分たちの生活を盗み「少しずつ背中に石を積んでいる」という被害者意識もある。

この状態で「選挙中のSNS利用」を制限したとしてもおそらく選挙後にこうした情報の拡散を防ぐことはできないだろう。

結果的に有権者は倫理的なパースペクティブを奪われる結果となり信じたいものだけを信じることになるだろう。

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