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アメリカンアパレルの日本撤退

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アメリカンアパレルが日本を撤退するそうだ。すでにサイトは閉鎖されており「日本法人は管財人が管理する」という表示がされている。だが、公式ツイッターは11月9日に更新されており、インスタグラムも11月10日に更新されている。従業員も詳しいことを知らなかったのかもしれないなあと思って調べてみた。
もともと「労働搾取をなくそう」という崇高な理念で国内生産を行っていたアメリカンアパレルは2015年の秋にはすでに破産状態にあった。リストラがあり日本も3店舗を残して整理されていたとのことである。それ以前の2014年には経営陣がセクハラなどで訴えられ、それに対抗する形でCEOが会社を訴えていた。つまり企業倫理は単なるお題目にすぎなかったのだ。
すでに本国からの供給は止まりあとは在庫を裁くだけになるのだという。11月7日に従業員に手紙が送られ「ほとんど全ての業務を停止するかもしれない」ということが告知されていたそうだ。

手紙の中には、「買い手候補は、製造、卸、小売事業について継続の意思がない可能性が高い。その場合、これら事業の終了および本社の規模縮小を60日以内に行うかもしれない」と書かれている。

日本の場合、従業員を守るために事前に撤退計画を立てたりすることが多いのだが、アメリカの場合ブランドは単なる資産なので、従業員への告知をぎりぎりに行うのだろう。混乱が長引けばオペレーションは難しくなる。また義理立てして「お客様のために最後まで頑張ろう」などという従業員はいないだろう。下手したら品物が運び出されるということも起こりかねないという「リスク管理意識」が働くのかもしれない。
いずれにせよ外資らしい話ではあるが、従業員をさっさっと切って撤退するなど日本人のメンタリティではありえないのではないだろうか。しかし、考えようによってはだから過労死も起こらないのだろう。死ぬまで尽くしても会社は持ち主のものにすぎないからだ。
その後、フォローアップがあった。どうやらブランド資産は売れたのだが店と従業員は売れなかったらしい。そこで資産が盗まれるのを警戒して、いち早く切り離してしまったのだ。以下ロイターから引用する。

ギルダンの提案には、アメリカン・アパレルが米国内で展開する110店舗(アウトレット含む)は含まれていないが、競争入札では買い手が現れる可能性もある。これら店舗は破産法適用中も通常通り営業する見通し。