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教師の働き方改革で文部科学省が隠していることと財務省が隠していること

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内閣不一致という言葉がある。内閣の中で意見の統一が見られない状態を指す。本来ならば憲法違反の状態(内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うと定められている)だが混乱する石破政権ではこれが普通の状態になりつつある。

マスコミを通じて財務省と文部科学省が対立している。お互いに言い出せない不都合なことがあるようだ。

財務省は「財政ファイナンスが破綻しつつある」ことを隠しているということは簡単に類推できる。一方の文部科学省が隠していることはよくわからない。とにかく教師の労働時間が明るみに出るのを嫌がっているように。不効率な働かせ方が明るみに出ればおそらく文部科学省に歳出削減の政治的なプレッシャーがかかることになるだろう。

石破総理はこの問題について介入していない。もはや大臣たちを調整することができなくなりつつあるのだ。だがこれは「公然の秘密」であってもはや秘密ですらないのかも知れない。

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教師の志望者がいない。公立学校の先生は公務員であるためストライキをする権利がない。賃金は国が決めることになっており残業代のない定額制である。近年では教師に対する要求は膨らむ一方で過重労働が深刻な問題になりつつある。

日本の教師はもともと知識階級として左派色が強かった。これを政治的に抑えてきたために教師の賃金交渉力は落ち結果的に若者が寄り付かない労働環境が作られてしまった。

過重労働が蔓延するとどうなるのだろう。体に石が乗せられてゆくような気持ちになったという証言がある。この状態が続くと精神が壊れる。うつ病などの精神疾患で休職する先生が増えているそうだ。これではまるで江戸時代の拷問である。

「やらないといけない仕事に追われるばかりで睡眠時間も短くなり、無理やり学校に行くものの授業準備もままならず、保護者対応や子どもへの対応に明け暮れて、まるで自分の体にどんどん石がのせられていくようで、学校に行くことがとてもつらかったです」

精神疾患で休職の教員過去最多 初の6000人超 20代が高い増加率(NHK)

このため文部科学省は「賃金の上乗せ」を認めてほしいと財務省に訴えている。

公立学校教員については勤務時間の明確な把握が難しいため、残業代を出さない代わりに調整額を一律支給することが法律で定められている。だが、長時間労働などを理由に人手不足が深刻化しており、文科省は教員の処遇改善を目指し、2025年度予算の概算要求で調整額を「基本給の13%」まで大幅に引き上げるよう求めていた。財務省案と文科省の要求には溝があり、年末の予算編成に向けて綱引きが激しくなりそうだ。

教員給与増、残業短縮が条件 財務省案、文科省要求と溝―財政審(時事通信)

ところが財務省は「業務時間の改善」を求めた。

財務省は調整額を引き上げる条件として、部活動をはじめとする授業以外の時間短縮や、長期休暇を取得しやすい環境整備などを項目に挙げ、働き方改革の進展がなければ引き上げを見送る。

教員給与増、残業短縮が条件 財務省案、文科省要求と溝―財政審(時事通信)

「財務省がいいだせないこと」は簡単に推測できる。アベノミクスによる財政ファイナンスが破綻しかけており歳出を抑制しつつ増税したい。アメリカには防衛費の増額を約束している。トランプ政権にとってはすでに「アメリカが勝ち取った成果」でありトランプ政権はさらにプラスアルファーを要求してくるだろう。「押せるならどこまでも押せ」という積極性がアメリカの国是である。

また国民民主党の躍進から国民が減税を求めていることもわかっている。仮に減税で消費が上向けば(その可能性はかなり高いが)おそらく国民はさらなる減税を求めるだろう。消費者に対する重税感がこの国の経済を停滞させているということを国民に知られてはまずい。

だが、文部科学省が何を隠しているのかが見えてこない。常識的に「残業代を認めれば青天井で教師の賃金が膨らむのだから財務省が反対しているのだろう」と思っていた。だが記事はそうなっていない。

同省(財務省)は将来的に残業代を支払う仕組みへの移行も提案したが、阿部氏は「教師の裁量性が著しく低下する」と反論した。

財務省案は「実現性乏しい」 公立教員の給与制度巡り反論―阿部文科相(時事通信)

財務省は調整額を引き上げる条件として、部活動をはじめとする授業以外の時間短縮や、長期休暇を取得しやすい環境整備などを項目に挙げ、働き方改革の進展がなければ引き上げを見送る。将来的には残業代を手当として支払う仕組みを検討することも視野に入れているという。

教員給与増、残業短縮が条件 財務省案、文科省要求と溝―財政審(時事通信)

実は財務省は「必要なお金なら出しますよ」と言っていて文部科学省がこれに反発している。阿部文科大臣は「教師の裁量権が低下する」と説明しているが、どうもこれが怪しいのではないかという気がする。自分の労働時間を決められることが裁量権の低下につながるという理屈はかなり無理があるからだ。

教師が残業制になれば当然労働時間を管理する必要が出てくる。すると文部科学省が教師に何を要求しているのかが透明化される。文部科学省はこれを隠したいのではないか。あくまでも推論であり証拠はないということはお断りしておきたい。

となると文部科学省が隠したいのは「不効率な教育行政」ということになる。

本来なら野党はこの問題を追求すべきなのだろうが「政治とカネ」の問題にかかりきりになっている。そもそも財務省と文部科学省が揉めている状態なので石破総理に定見があるわけでもない。

本来ならば自分がアポイントした閣僚すらまとめられないことが責められてしかるべきなのだろうが「石破総理は政府も政党も議会も掌握できていない」ことを暴く人はいない。もはや公然の秘密だからである。少数与党状態で議会がコントロールできないことは明らかだが、もはや閣内さえまとめられない状態になっているということになる。

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