また稲田さんの泣き顔が見れるかもしれないが、それだけでは済まないかもしれない。
朝日新聞がさらっとすごい記事を出している。南スーダンで政府軍と国連軍が実は衝突していたというのだ。これ、何がすごいことなのだろうか。
日本には平和憲法があり、外国の戦争には介入できないことになっている。できるのは自衛と平和貢献活動だけだ。ゆえに戦争の起こっている地域には自衛隊を派遣できない。ということで、日本政府は自衛隊を派遣するところには戦争は起きていないと言い張ってきた。
安部首相は南スーダンがらみの説明でおおよそ次のような説明をしている。
国連軍は政府軍が管理している地域に派遣される。したがって、国連軍が活動する地域では基本的な治安は維持されている。反政府組織が武器を使うことはあるが、基本的な秩序は維持できているので、それは戦闘状態ではなく単なる衝突である。
実際にはそれは間違っていることがわかっている。南スーダンには大きく分けて2つの勢力があり、政府軍はその半分を代表しているにすぎない。つまり、実質的な内戦状態にあると言える。安部首相の説明の裏には、政府軍が国の治安を乱すようなことは起こりえないという前提がある。日本人でこれを疑う人はいないだろう。
ところが実際にはさらに混乱が大きいことがわかっている。日本政府の説明によると国連軍は南スーダン政府を助けるためにいるはずなのだが、朝日新聞の記事を読むと国連軍は政府軍と交戦する可能性があるというではなく、実際に交戦が行われていたらしい。
日本の常識から見ると自衛隊が非支配地域で市民を殺害し略奪行為を行っているというようなことはありえないわけだが、これが南スーダンの実態なのだ。治安が守れていないというレベルではなく、治安を乱す側に立っており、国連軍はそれを抑止する役割が期待されている。つまり、国連は南スーダン政府が国を統治できているとは考えていないことになる。
このような状態下では、何が戦争で、正常な国家運営が何かを定義することはもはや不可能なのだが、野党勢力に力がないので国会で南スーダンから撤退させることは不可能だろう。
だが、政府は南スーダンが戦争状態であるということを予見できなかったとは言えないので、何か問題が起きた時に、裁判で内閣の違憲性が裁かれることになるのではないかと考えられる。その時訴訟を起こすのは自衛隊の隊員か遺族ということになるのではないだろうか。