洋服を選ぶときの配色が苦手だ。実際に写真を撮影してみると、かなりとんでもない組み合わせを選んでいることがある。最初は色相環の角度で自動的に配色が決まる計算式というようなものを夢想し、次に機械学習で第1色と第2色を選べば、第3色を選んでくれるような仕組みが作れるのではないかと夢想した。
ところが実際にはそのような数式は作れそうにない。そこで組み合わせを図示したらどうなるだろうと考えてやってみた。
数学やプログラミングの知識があればすんなりいったのかもしれないがなかなか難航した。毎日着た服のアイテムはすでにコーディングしてあったので、色の情報を整備する。するとデータベースには次のようなレコードが並ぶ。
[ITEM] [DATE] [COLOR]
本来はこれをネットワークに変換する必要がある。3色使われていれば組み合わせは3だが、4色使われていると6通りのネットワークができる。結局これを手作業でまとめることにした。アルゴリズムを考えるのが面倒だったからだ。
結局、たいした知見は得られなかった。まず基本的にインディゴが多い。ジーンズばかり着ているからだ。その脇にあるのは白と黒である。これらの色は色調を整える働きがある。その次に来るのが茶系である。チノパンなどに使われる色である。そして後の色は周辺に置いやられる。
インディゴの補色が茶色なので、基準色、補色、モノトーンというように広がってゆくのだろう。
これを見てからファッション雑誌を見たら、そもそも色を3種類以上使ったコーディネートというものが消えかかっているようだった。差し色として使われているものが少数あるだけだった。あとは同系色か隣にある色のトーン違いがあるくらいだ。これを白、灰色、黒で整えている。
つまり、スタイリストはジーンズ(もしくは黒のパンツ)があり、そこに第二色を足して、白や黒で整えるというようなやり方をしているのではないかと考えられる。もしくは同系色のグラデーションを作っておいて、第二色と合わせるというようなやり方をしているのだろう。
三色配列そのものがないので、わざわざコンピュータを通す必要はなさそうだ。プログラミングするなら過去のショッピングカートから傾向を読み込んでレコメンデーションを決めた方が良さそうに思える。ある程度ランダムに進めて、精度をあげてゆくようなエンジンはすでに開発されているのではないだろうか。
これをやってみて思ったのは、マーケティングリサーチを中心に生産計画を立てると、中心にあるものだけを作りたくなるだろうなあということだった。各社とも見ているマーケットが同じになれば、当然中心に行けば行くほど競争相手が増えるということになるんだろうなあと思う。
ユニクロのように他社製品を補完するというコンセプトの会社だとそれでも良いのだとは思うが、他社が真似すると市場から色が消えてしまう。周辺にあるということと需要がないということは実は同じではないからだ。
だが、ユーザーの側に余裕がなくなり、できるだけ着回しができる服がいいということになれば、やはりそれは黒などのモノトーンではないかと考えられる。白や黒は色の組み合わせを選ばない。さらにその状態が続くと、ユーザーが色選びをするという知識が消えてゆくので市場から色が消えゆくということになるのだろう。
ということで、各社とも大量に定番服ばかりを作り、それが捨てられるという背景には統計処理とマーケティングリサーチがあるのだろうなと考えた次第である。