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若者が政治に興味を持たなくなった理由と国民民主党が成功した理由

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若者が政治に興味を持たなくなった理由を報道特集が解説していた。大学のメディア専攻のゼミで議論をしてもらいその内容を放送したのだ。一言でまとめると「現在の有権者は消費者化している」ということになる。ゼミの要望に従えば政党はこれを汲み取りソリューションを提供する必要があるということになる。

若者たちは「なぜテレビは自分たちに関係のない話ばかりしていて、しかも選挙の直前に選挙報道をしなくなるのか?」と感じているようだ。

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番組側がいいたかったことは「安倍政権時代の通達と高市停波発言によってメディアが萎縮した」ということのようだ。「そんなことは社内会議で言ってくれよ」と思う。

テレビ局はスポーンサーで成り立っている。スポンサーは放送時間単位で枠を買う。だからテレビ局が公平な扱いに付いて議論すると「枠を無料で各政党に分配する」という考え方になるのだろう。今のテレビ局員は「秒単位で揃えてくれ」と要望されうんざりしているそうである。

おそらく報道特集の全体の議論は1週間後くらいに記事になるだろう。

これとは別にゼミの学生の発言は面白かった。

  • なぜテレビは「自分たちに関係がない」裏金の話ばかりをやっているのだろう?
  • そんな中で「手取りが増える」という玉木氏のアプローチが新鮮に映った。
  • 政治は自分たちのところにやってきて「なぜこの政策が自分たちの困りごとを解決してくれるのか」を「具体的に示して」ほしい。

総合すると「自分たちに関係がある話だったら聞いてやってもいい」と言っている。逆に「自分たちに関係のない話を聞いても無駄」と思っている。イマドキのタイパ意識が現れている。

だが、実際にこのアプローチを取って失敗したところがある。それが立憲民主党だ。困窮者たちを読んで話を聞きその話を元に立法するという手法を取っていた。だが、おそらく今回のゼミの学生たち(政治ではなくメディア論が専攻の人たちだった)はそんなことは知らないのではないか。

立憲民主主義の手法が失敗したのはなぜか。

  • 困窮者対策を講じると「私達には関係がない」他人が優遇されるのは面白くない」と考える人たちがSNS上に集まってきて左派を攻撃する
  • また「私達にはそれほど困っていない」という人はそもそもそれを見ない

からだ。つまり「自分たちに関係がある」と考える人よりも「関係がない」と考える人のほうが圧倒的に多い。

ではテレビと企業はどう対応しているのだろうか。

テレビコマーシャルを企画するにあたっては「そのサービスの受益者は誰か」を検討する。これをペルソナという。このペルソナ設定に合わせてタレントを選定する。「CM+ペルソナ設定」で検索すると様々な記事が出てくる。どんなタレントが起用されているかを見れば企業がどれくらいの所得の人をターゲットにしているかがわかる。お笑いタレントと俳優ではおそらく所得層が違う。

今回、このペルソナ設定で成功した人達がいる。それが国民民主党だ。

報道特集では玉木雄一郎氏のインタビューを取っていたが「ペルソナ」で考えるとその合理性がわかる。玉木氏はどのようなペルソナに自分たちの声が響くかがわからなかった。自分たちで切り抜きも作ってみたがうまくゆかない。

そこで

  • 著作権フリーの長尺動画

を公開することにした。

支持者の人たちは「動画から自分たちに関係があると思われる場所」を選んで編集する。その時点で編集者の目線が反映されて受け手に関係がある動画が自動生成されてゆくのだ。オリジナルの作品が作れる作家は少ないが二次創作が得意な人は多いという極めて日本的なやり方で成功したことになる。

これによって「自分たちの主張が誰に響いているか」が測定できるのでそれに合わせて行動すればいい。

極めて合理的である。

このゼミの学生たちの言い分を聞いていると

  • 好きなところだけをつまみ食いして、全体のことはじゃあ誰が考えるのだ?
  • 政治とカネの問題をうやむやにしても既得権を持っている人たちに都合が良い政治が繰り返されるだけではないか!

と憤りたくなる。

だが現実問題としては「全体のこと」を考慮している人など誰もいないのだし、既得権も行き詰まっている。さらに既得権を持っている企業も社会や政治を信用していない。

さて、日本を占領したアメリカGHQは民主主義をどのように啓蒙したのか。

実はプロパガンダ映画を使っている。このときのプロパガンダはCIE映画・ナトコ映画などと言われる一連の作品として残っている。例えば「腰のまがる話」では近隣住民の女性たちが自分たちで診療所を作り生活を改善する様子が描かれている。現在の佐久病院の基礎となっているそうだ。

GHQのプロパガンダの特徴は「自分たちで社会建設をしてゆこう」と訴えた点にある。

実際には極東が共産化してゆく中で「日本だけはどうあっても共産化を防がなければならない」という切迫した事情があった。この様な切迫した状態で「民主主義の理念」など語ってもそもそも国民主権さえ理解していない日本人に響くはずもない。だから映画を作って「このように行動すればあなたの生活がラクになりますよ」とメリット(ベネフィット)を訴えたのである。

また、実際に日本人が自民党の経済政策を信じるようになったのは「あなたの所得」が倍になると訴えた池田勇人の功績だ。Wikipediaには「月給倍増はいかん。月給というと給料取りばかりが相手だと思われる。」という発言が引用されている。立憲民主党は「困窮者の要望をすくい取り」政策化しているがこれは成功しなかった。関係があるという人が支持するよりも先に関係がないと考える人が妨害工作を始めるからだ。池田はおそらく「給料取り=サラリーマン優遇」に反発する人が出てくると考えたのだろう。

その意味では「自分の生活に関係がなければ関与しない」「そればかりか妨害側に回りかねない」というのは日本人の根底に根付いた意識であって今回取材を受けた学生たち特有の性質ではない。

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Comments

“若者が政治に興味を持たなくなった理由と国民民主党が成功した理由” への2件のフィードバック

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    「自分の生活に関係がなければ関与しない」「そればかりか妨害側に回りかねない」という色々な場面で見るようになりましたね。
    昔の生活保護者に対するバッシングや、最近だと女性支援団体やLGBTQ関係、子持ち様問題等が当てはまる気がします。最近は経済状況がさらに悪くなっているので、生活保護が色々な人たちに関係あるようなってきたのか、昔よりはバッシングが減った感じがします。
    こういうことを踏まえると、池田勇人の訴え方が巧みであるというのは確かにそうだなと感じ、面白い分析だと感じました。

    1. 昔の政治家は新聞のコラムから鋭敏にこうしたことを読み取ることができていたわけですよね。なぜそういう人がいなくなってしまったのか……

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