別の投稿でトランプ氏が大統領に返り咲けばアメリカ経済が大混乱するかも知れないと書いた。当然アメリカ人はトランプ氏から離反しハリス氏に投票するはずだがそうなっていない。背景には根強い政府不信とマスコミ不信がある。日本人は縮み思考で不信に対処するがアメリカの場合にはもっと激しいリアクションとなる。不都合な情報を無視し相手を攻撃し始めるのだ。
時事通信と共同通信が同じ内容の記事を出している。
すでに当ブログをご覧になっている方にはおなじみの「ゴミの島」論争を収拾しようとしてバイデン大統領が更に炎上している。記事を読むとどんなに大胆な「改竄」が行われたのかという気がする。
オリジナルのAPに答えがある。supportersをsupporter’sに修正したという。アポストロフィを加えたのだ。
The transcript released by the White House press office, however, rendered the quote with an apostrophe, reading “supporter’s” rather than “supporters,” which aides said pointed to Biden criticizing Hinchcliffe, not the millions of Americans who are supporting Trump for president.
AP sources: White House altered record of Biden’s ‘garbage’ remarks despite stenographer concerns
前者は「トランプ氏の支持者たちはゴミ」ということになるが、後者では「支持者=ゴミの浮島発言をしたコメディアンの発言」がゴミという意味になる。実際にはどちらも同じ発音だが「supporter’s」にはやや無理がある。
時事通信が言うように速記者は「公式発言を正確に記録することが国益に沿う」と職人的な自負を持っており今回の修正・改竄について憂慮を示しているという。記録改竄を命じたのは大統領ではないが大統領と側近協議したあとに改竄が行われている。速記者室は改竄(修正)に抗議し監督者も憂慮を示したが政治的な内容のため詳しいことは大統領側近に聞いて下さいと言っている。
トランプ氏側近もよくこんなことを考えついたなあという気がするが、問題は「どちらの言い分が正しいか」ではない。こうした「改竄」のニュースが共和党支持者たちに「やはり今の政治は何らかのごまかしをやっていてメディアもそれに加担している」と信じ込ませてしまう点にある。
結果的にSNSでは虚偽の投稿(移民がペットを食っているとか選挙で不正が行われている)の拡散につながる。既存メディアはなんとかしてこれは虚偽であると主張するわけだが共和党の支持者たちはもうメディアを信頼しない。
日本人も政治家を信頼しなくなっており「節約志向=縮み思考」で対処しようとする。日本が成長しなくなった理由には様々な要因があるだろうがデフレマインド=縮み思考が定着した理由は政治不信だろう。
しかしアメリカの場合はこれが縮み思考ではなく「対決姿勢」に結びつく傾向がある。日本では「言論内乱状態」と報道されている。
日本人が政治を信頼しなくなればなるほど日本の経済は痛み将来の選択肢が制限される。アメリカの場合は本来は民主主義と庶民を守っているはずのメディアが信頼されなくなることで虚偽の改革に対する抵抗力が奪われる。収奪を「必要な痛みなのだ」と正当化する人たちが政治を支配することになるのかも知れない。だが気がついたときにはもう遅いと言うことになってしまうだろう。庶民を守ってくれるメディアがもうどこにも存在しないからだ。
これが「民主主義なのだ」と嘯くこともできるが、それでもやはりなんとか防ぐ方法は何者かと考えてしまう。