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「103万円の壁」対策は損か得か

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TBSの「ひるおび」で103万円の壁問題を扱っていた。識者たちがあつまって「解答のない問題」について「ああでもない、こうでもない」と話し合っている光景が興味深かった。長い時間かけてわかったのは「結局よくわからない」だ。

議論の中に「節税しても結局消費には回らず貯金されるだけ」というフレーズも出てきた。おそらくこれが問題の本質だろう。政治不信を解消しない限り「解」は出ないということだ。解がなければ縮み思考が持続する。国民は節約志向を改めずしたがって政治上の諸問題は解決されない。

であるならば次の疑問は「政治家は政治不信の解消に努めているか」になる。応えだけを書くと「ノー」なので、このままの状態が続くことになり「話し合ってもムダ」という最終結論が得られる。

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TBSの政治部は「国民民主党の新提案が国民生活にとって良いことなのか悪いことなのかを考える」というアジェンダを作ったのだろう。それをお茶の間審議員に審議してもらおうというのがお昼のワイドショーの趣旨になる。結論は「よくわからない」だった。そりゃそうだろうなという気がする。

恵俊彰氏司会の「ひるおび」では103万円が壁になっており働き控えが起きていると問題視していた。103万円の壁が後ろ倒しになれば働ける時間が増えるので人手不足が解消され手取りも増える。これは良いことだという点までは合意ができていた。

ちなみに103万円の壁とは「基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円の合計」だそうだ。つまり所得税の非課税上限だそうである。扶養の話ではない。

その後2つの問題が出てくる。

国民民主党のアイディアでは税収が7.8兆円落ち込む。つまり「落ち込んだ税金」をなにかで補填する必要があり、却って増税になるのではないかという疑いが捨てされないようだ。TBSのNスタでもそのように解説されていた。「ひるおび」にはかろうじて議論のようなものがあるがNスタはニュースショーなのでさらに「投げっぱなし」の印象。

個別にメリット・デメリットを考える思考の限界と言える。全体を見渡したときの損得が掴めなくなる。誰かがグランドデザインをやり直さない限りこの問題はいつまでも続くだろう。

さらにここに扶養の問題が出てくる。扶養は主婦と子どもでも異なっており社会保険の支払い義務が生じるのだなどと説明されていたが何を言っているのかよくわからなかった。こちらは106万円の壁・130万円の壁などといわれる。とにかく制度が複雑なのだ。

最終結論は

  • 誰かが仕組みを単純にしてくれないとよくわからないしなんとも言えない

となって終わった。

経済・社会保障・政治の識者が集まって話し合っても誰もこれと言った「解」が出せないということがわかる。

その議論の中に「このままでは消費者は節税分を貯蓄に回し消費しないだろう」という声があった。

そもそも106万円の壁を越えて働きたい人が出てこないのは企業も従業員も社会保障の持続性にうっすらっとした疑念を抱きなおかつ強い負担感を持っているからである。つまり国家や社会が信頼されていない。

ただ、政治不信を持っているのは労働者だけではない。実は企業も日本の国内に先行投資しなくなっている。先行投資は次の世代への投資で農業に例えれば「種籾」になる。種籾を蒔かなければ稲は育たない。結果的にこれが労働者に将来不安を植え付けている。だから労働者も先行投資(暮らしを整えたり次のために勉強したり)ができない。

なぜこんな事になったのかを考えると「すでに詰んでいる制度の延命を図ってきた」からだという結論が得られる。つまりここから抜け出す方法は「そもそも行き詰まっていることを認める」ことなのだろう。だが、多くの人は実際の破綻を見るまではそれに合意しないだろう。このようにそもそももう30年も同じ議論をダラダラと繰り返している。

砂時計はどんどん砂を落としているが多くの人は「逃げ切れる」方に賭けていて抜本的な対策は話し合われないままだ。

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