リベラル系のメディアは盛んにハリス氏をエンドースしている。ABCニュースの誘導はあからさまになりCNNもバイデン政権に都合が悪い記事を流さなくなった。
にも関わらず世論調査ではハリス氏が支持を伸ばすことができず結果的にトランプ氏が優勢の状態が生まれている。IT大手もついにトランプ氏に接触を始めた。トランプ大統領再選の可能性が否定できなくなってきているのである。
民主主義にあまり興味がないイーロン・マスク氏はこれまでもプーチン大統領と接触していたと言われる。報道の信憑性は必ずしも担保されているわけではないのだがCNNはプーチン大統領は「習近平国家主席に配慮して台湾でスターリンクを使えないようにすべきだ」などと勧めたと伝えている。マスク氏はトランプ氏に「オール・イン」していてぜひとも勝ってもらわなければ困るという立ち位置である。
だがこれまでIT大手はトランプ氏から距離を置いてきた。出どころが確かではない情報が飛び交っているXへの広告収入は落ち込んでいる。これはリベラルな広告主たちが炎上を恐れてXへの出稿を控えてきたからだろう。
しかしながらトランプ氏が大統領に返り咲く可能性が出てきたためIT企業の経営者たちもトランプ氏に接近する動きを見せている。トランプ氏とコミュニケーションを取らないことがリスクになってきたことを意味している。それだけトランプ氏再選の可能性が高くなっているということになる。
特に新聞はかなり難しい状況に置かれている。
編集サイドはハリス氏に勝ってもらいたい。広告のことを考えるとトランプ氏に近づきすぎるのも危険だ。だがジェフ・ベゾス氏のように政府と取引をしている企業が経営している新聞社もある。つまり全くトランプ氏との関係をなくすこともできない。そこでワシントン・ポストは特定の候補を支援しないように社主命令を下した。編集部内にハリス氏を支援したいという気持ちが高まっていることがうかがえるがこれが経営リスクになるということになる。
BBCによるとLA Timesも支持を明言しないことを決めており編集幹部が辞任したと伝わる。一方でNYTはハリス支持を明確に打ち出し富豪ルーパート・マードック氏の企業の傘下のNew York Postはトランプ支持を打ち出しているそうだ。
日本でも政権交代の可能性があるがメディアの対応はどこか穏やかである。表向きの公平・公正原則が保たれているうえにどちらが勝ったとしてもそれほど大きく情勢が動くわけではないという暗黙の見込みがあるのだろう。ましてや経営陣と記者たちの間に争いがあるなどという話も聞かない。
なおアメリカ合衆国では大統領選挙の結果がすぐには判明しない可能性が高くなってきた。激戦州で期日前投票の数え方に独自のルールがあるためだそうだ。当日投票と期日前投票の投票傾向に差があった場合は選挙結果が覆るかも知れないとロイターが激戦各州のルールをまとめている。