2024年の総選挙が終わった。今回の注目ポイントの一つが「裏金議員」だった。時事通信は「【速報】裏金事件に関わった46人は18勝28敗だった」と書いている。「裏金非公認」議員のうち松野博一・西村康稔、世耕弘成、萩生田光一の各氏が当選した。塩谷さんは選挙に出ず下村博文さんと高木毅さんが落選したと伝えられている。二階派では武田良太さんが落選し平沢勝栄氏が辛勝したようだ。結果的に「原因を作った幹部たちは生き残り、選挙に弱い人が振り落とされる」ということになった。
石破・森山体制は当初の目標だった自公過半数を維持できなかった。本来なら倒閣運動が起きても良さそうなところだ。だがここで自民党の内部がざわついてしまうと維新と国民民主党を巻き込んだ新しい政権の枠組みが作れなくなる。石破総理総裁も森山幹事長も辞任は否定している。
非記載議員は比例名簿に載せないという判断が出たときには「死刑宣告だ」と反発があった。だが結果的に28人が永田町に戻ってくることができなかったのだから当然清和会の勢力は衰えた。幹部たちは戻ってくることができたが末端の議員たちは切り捨てられる結果となった。「自分たちだけが助かれば良い」リーダーたちに清和会をまとめられるとは思えない。
自民党は裏金非公認の議員たちの追加公認を「当面は」行わない見通し。彼らは首版指名では石破茂氏に協力する可能性はあるが大臣ポストなどは得られないということになる。仮に彼らが公認されたとしてもしばらくは針の筵だろう。自分たちは生き返ったが大勢の議員たちを巻き込んだ。もちろん安倍派の末端議員たちも議席を失ったわけだが巻き添えを食らった議員は安倍派にだけいるわけではない。
自民党にとって次の難所は「参議院選挙」になる。今回の選挙結果を見るかぎり政権交代を伴わない参議院議員選挙はさらなる大惨事となるだろう。つまり裏金候補を優遇すると有権者の怒りを買う可能性がある。とはいえ自民党は参議院では公明党の協力がなければ過半数が維持できない状況だ。つまり選挙に強い裏金議員を優遇しなければ更に負けこむ可能性があるのだ。
今回の一連の騒動は5人組と言われる人たちがきちんと派閥内を統制しなかったことが原因で起きている。ところが蓋を開けてみると高木毅氏以外のメンバーは「凱旋」を果たす一方で大勢の議員たちが討ち死にしている。
特に世耕弘成氏は和歌山2区で自民党の二階伸康氏に勝利している。必要がないのに参議院から鞍替えして自民党の票を奪ってしまったことになり自民党への復党はかなり難しそうだ。