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自民党・公明党は47議席減と56議席減のどちらで過半数を割り込むのか?

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先日、自公で46議席を減らすと過半数を割り込むと書いた。ところがその後時事通信と読売新聞が異なった数字を出しており一瞬パニックに陥った。算数に弱いという意識があるため「計算を間違った」と思ったのだ。

まず時事通信は「自公「233」維持へ剣が峰 56議席減で過半数割れ【24衆院選】」というタイトルで記事を出している。現有議席を256と書いている。一方で読売新聞は「焦点の数字「47」…自公は47議席以上減らすと15年ぶりの与党過半数割れに」と書いている。

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233議席を確保するとギリギリ半数なので政権を失うためには過半数を割り込む必要がある。なので46はそもそも間違いである。ということで「算数が苦手」という現状認識は間違っていなかった。テストでは点数は取れないことになる。

読売新聞は次のように書いている。計算式が示されているのでこちらのほうが正しい気がする。

与党の公示前勢力は、自民247議席、公明32議席で計279議席。47議席以上減らした場合に、過半数を割り込む計算だ。仮に自公が過半数割れすれば、野党に転落した2009年以来15年ぶりとなる。

焦点の数字「47」…自公は47議席以上減らすと15年ぶりの与党過半数割れに(読売新聞)

一瞬時事通信が計算を間違ったのかと思った。だがよく見るとそもそも現有議席の数字が異なる。時事通信が現有議席を間違えてしまったのかと感じた。NHKも次のように書く。ますます時事通信が間違っていたのではという感想を抱く。

選挙前の衆議院の勢力は、定数465のうち、自民党が247、立憲民主党が98、日本維新の会が44、公明党が32、共産党が10、国民民主党が7、れいわ新選組が3、社民党が1、参政党が1、無所属が22となっています。

衆議院選挙 注目の議席数は?「絶対安定多数」とは(NHK)

特に「算数に弱い」という気持ちがあると(学生時代のざわざわとした気持ちが蘇る)「時事通信も俺の計算も間違っていた」と結論付けたくなる。苦手なことは早く手放してしまいたい。

たださすがに「皆様のNHK」は正直だった。実は10人の「ステルス自民党」がいるそうだ。つまり計算の問題ではなく国語(定義)の問題だった。

無所属のうち10人は、自民党の政治資金パーティーをめぐる収支報告書への不記載で党から公認されず、無所属で立候補する前議員です。

衆議院選挙 注目の議席数は?「絶対安定多数」とは(NHK)

なるほどと見返してみると読売新聞もこのように書いている。ステルス自民党員の他に自民党入党予備軍がいるそうである。県連と仲が悪く公認が得られなかった人やもともと野党として対立関係にあったために支部長として認められないと県連が拒んでいる人もいる。

特定の候補の名前を出すと差し障るが福岡三国志を見たときに「民主党から立憲民主党に加わらず無所属で活動する議員がいる」ということを知った。だが県連は別の候補2名が公認権争いをしておりとても割って入れるような状態ではない。だが結局どちらも公認されなかった。おそらく他にもそういう人はいるだろう。

自民執行部は、政治資金問題で非公認となり、無所属で選挙戦を戦った前議員らが当選した場合、追加公認する方針だ。また、自民と立場の近い無所属候補が当選圏内にいる選挙区も複数あり、こうした候補も当選後に追加公認の対象となる可能性がある。

焦点の数字「47」…自公は47議席以上減らすと15年ぶりの与党過半数割れに(読売新聞)

ただここでまた別の疑問が生じる。非公認は9名が立候補した。このため256-247=9が正しい数字になりそうだが、NHKは10としている。まあ1人くらいいいやという気はしたがとりあえず記事を探すことにした。

選挙区を譲り比例に回っていた上杉氏が無所属で出馬する。このためNHKは9+1で10としているのだそうだ。

このため、収支報告書への不記載で党から公認されず、無所属で立候補するのは10人となります。

衆院選 自民 不記載議員の非公認・公認(比例重複認めず) 一覧(NHK)

ここまで来て「(おそらくは)どちらも間違っているとは言えない」事がわかった。だが、今回の事前情勢調査では50程度の議席が失われるとされており47と56では結果が全く異なる。つまり、開票速報の段階では「自民党・公明党が過半数を割り込む」という報道が出てその後で「ステルス自民党候補」が加えられ「やっぱり政権維持です」という可能性があるということがいえる。

おそらく政権交代を望んで投票所に足を運んだ人はがっかりするのではないか。

個人的にはなんとなく理屈がわかったので「さほど大きな嘘はつかずにすんだ」と満足できたのだが、それでもやはり「クリティカルな数字については正確に伝えるべきなのではないか」と感じた。

だが、それぞれの報道にいちいち「表向きは自民党公認ではないが云々」とも書けない。加えて一旦基準を決めてしまえばその数字を最後まで保持する必要がある。時事通信は「説明のために公認を外したことになっている」人をカウントしており、他の新聞者は公式の「公認」の規定を保持しているということなのだろう。

結局のところ慌てて選挙に突入し場当たり的に公認を外したかと思えば「支部(候補者ではなく)」に資金を出したりしている自民党執行部が悪い。つまりそもそも「現有勢力とは何か?」を誤魔化して選挙戦に突入しており有権者にとって誠実な対応とは言えない。

マスコミばかりを責め立てるのはちょっと違うのかなあという気もする。

なお、心配されていた期日前投票の投票率は徐々に上昇しており「期日前投票、1643万人 前回比1.15%減【24衆院選】」だったそうだ。地方自治体の事務手続きが間に合っておらず当初は投票率が低くなるのではないかと心配されていた。しかし前回並みの投票率にとどまると組織票に依存する自公連立政権に有利な展開となる。経験的には政権交代の見込みがないと無党派層の投票への稼働が低調になるからだ。

時事通信は「投票率、低水準の見方 上昇なら自民不利か【24衆院選】」と自公政権に有利な状況を予想している。

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