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奴隷制度に対する謝罪と賠償を求める旧イギリス植民地

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チャールズ3世国王が英連邦諸国会議に出席している。この席で奴隷制度に対する謝罪と賠償を求める声が強まっているとAFPが伝えている。ただなぜ今になってこの様な声が上がるようになったのかなどの背景は書かれていない。

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AFPの記事とBBCの記事を読むと概ね次のようなことが書かれている。

きっかけになったのはチャールズ3世国王と56カ国の首脳が参加する英連邦諸国会議だ。25日と26日に開催される。このサミットでイギリス政府は謝罪と賠償問題を議題にする事は考えていない。だが、一部の国のリーダーは謝罪要求を取り下げていない。気候変動問題など別の課題で「誠意を示す」事はできるはずだとしている。

これまでも奴隷制度に対する謝罪と賠償を求める声がカリブ海諸国から出ていたがイギリス政府は謝罪も賠償も行わない方針を転換していない。だが近年では「協議もしない」という従来の一線を保持するのは難しくなっている。国王は政治的な問題について議会の同意なしに独自見解を出すことが許されていないため国王が独自判断で謝罪を行うことは想定されていない。

2024年のノーベル経済学賞は成功した植民地と失敗した植民地の研究だった。白人居住が前提とされた植民地は住民(とは言っても先住民族は除外されているのだが)の自治を守るための条項があり後の経済発展の基礎となった。一方で資源搾取を前提にした植民地ではこうした自治のための仕組みが整えられず「国家としての成功を阻害している」と示されている。イギリス領の他にベルギー王の私領として搾取対象コンゴなども失敗例にカテゴライズされている。

この研究に従うと国家の成功を阻害しているのはイギリスの奴隷制度ではなく現地の政治制度である。資源搾取を前提とした場合住民の反乱を抑え付ける必要があり地元の領主たちを体制側に取り込む傾向がある。中にはライバルになる領主たちを競わせて強い勢力ができないように政治を不安定化させることもあった。

例えば日本でも朝鮮半島や台湾の植民地政策の是非が議論されることがある。だが実際に問題になっているのは日本が去ったあとの体制だ。韓国では長い間軍政が敷かれ台湾も大陸からやってきた国民党と「外省人」が旧住民(内省人)を支配する状態が続いていた。日本人の中には「そもそも植民地などなかった」という人もいるが彼らはその後の現地の統治政策についてあまり興味を持たない。

その意味では奴隷制を理由に旧宗主国イギリスから何らかの資金を引き出そうとする姿勢こそが問題のように思われる。

ただしイギリスのジャーナリズムは洗練されており「旧植民地の要求など論外だ」というような議論になっていない。BBCは過去の植民地政策を冷静に分析したうえで「一体どの様な落とし所が考えられるのか」を分析している。

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