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維新の馬場さんの狙い

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国会で維新(現在の政党の名前は何というのだろうか)の馬場さんが、大阪へのリニア新幹線誘致を推進し、大阪に万博を誘致すべきだというような趣旨の質問をした。安倍首相はそれに応える形で大阪万博誘を決めたらしい。
確かにイベントの誘致には経済的なメリットがありそうだが、現在の状況をみるとデメリットの方がはるかに大きそうだ。だが、この疑念を系統立てて証明するのはなかなか難しい。
最近、豊洲の問題を見ているのだが、問題の根本には土地開発の失敗があるようだ。都はバブルの崩壊を経験したあと湾岸エリアの開発に失敗し多額の含み損を抱えた。これが表面化するのを恐れ築地の一等地を売ろうとしたようだ。しかし、積極的に高値が付くように動いた形跡はなく「カジノでも作りゃ外国からの観光客がバンバン来るんじゃないの」程度の認識でいるようだ。外国のグループが高値で買ってくれればいいや程度に思っていたのかもしれない。
もともと台場地区は都市博を呼び込んで「民間資金による開発」を目指した経緯がある。青島都知事がこれをストップしたことで計画が頓挫した。
この副作用は甚大だった。もともと築地を中心とし魚食文化は大手流通に押されて崩壊寸前だったようだが、都政はそれを解決できなかった。さらに有毒な土地に拠点を移行することでブランドの崩壊を招くところだった。豊洲に移ってから問題が表面化すれば、日本の魚は放射能と有毒物質に冒されているという評判を得て崩壊していたかもしれない。
海外からカジノが誘致できていたとしても土地を書いとるのは中国企業だろう。中国には売りたくないといえば土地は売れない。つまり計画は早晩潰れていたのではないかと思われる。逆に銀座近くの一等地が中国を「シナ」と蔑視していた石原都知事のもとで中国に明け渡していたかもしれない。
万博の誘致には「もう開発型の経済成長はやめよう」という概念的に反対するのは簡単だ。しかし、現実の政治で見られるのは見通しのずさんさだ。民間事業者は企業の存亡をかけて土地開発を行うわけだが、政治家にも都職員にもそのような必死さはない。そのため計画が極めてずさんなものになる傾向にあるようだ。
信じがたいことだが、日本のエリートたちは集団になると「カジノやイベントなど一般庶民に受けることをやればなんか儲けれるんじゃないの」という程度の認識しか持てなくなるようだ。いわば集団白痴化が起きている。イベントそのものにあるわけではなく、インプリメンテーションにあるということになる。「武士の商売」が問題なのだ。
この武士の商売に対して大阪の経済界には「参加協力を拒否したい」という声が起きているという。東京五輪で学習した住民はこの計画には賛成しないだろう。「コンパクトに収めますよ」という約束は破られることになる。
馬場さんの発言には「含み損の隠蔽」という側面があるのかもしれない。大阪湾岸の開発も失敗しているのだが、何らかの開発計画があれば清算を先延ばしにできるからだ。何か動いているうちは失政が露呈しないので、なんらかの「夢を見せておく」ことが重要なのだ。これも東京やその他の大都市に似ている。つまり、バブルの清算が終わっていないということになる。
おおさか維新(今の政党の名前が思い出せない……)の狙いは、権力の中枢に入り込むまで維新府政の失策を露呈させないためなのかもしれない。
この朝日新聞の記事を読むと大阪府でも「イベントで民間から金を出させて、その後カジノをやろう」という見込みがあるそうだ。東京でも大阪でもこの程度の経済成長計画しか立てられなくなっている。経済界から政治の世界に転身するのは難しいので、民間の知恵が道入できないのかもしれない。職業政治家ばかりにしてしまったつけがここにも表れているようだ。一方、日本は衰退するだけでもはや成長産業をカジノ以外に見つけられなくなっているのではないかという危惧さえ感じられる。