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麻生太郎氏は一転「祭り上げ」 石破新体制の全容が固まる

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時事通信と朝日新聞が「石破政権の全容」を紹介している。内閣総理大臣に指名される前に全容を固めてしまうとはかなり焦っているのだなと感じる。ここではすでに公表されたリストから目についた人事を見てゆく。朝日新聞時事通信からそれぞれ拾った。

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当初、麻生太郎氏のポジションに菅義偉氏を据え財務大臣を引き剥がしたことで「露骨な麻生外しだな」と感じた。時事通信も「石破、菅、森山3氏で政権の骨格を形成」と書いており人事で麻生派が厚遇されなかったのは明らか。官房長官は林芳正氏(旧岸田派)が続投。

だが森山裕氏が入り「麻生外し」は修正された。麻生派の鈴木氏は高市氏が固辞した総務会長になった。また、重鎮麻生太郎氏は最高顧問になるそうだ。おそらく実権はないのだろうが会議や式典ではみんなから拝まれることになる。祭り上げが名誉ある地位なのかあるいはある種の拷問(祭り上げプレイ)なのかは人によって意見が分かれるところ。人間関係構築が苦手な石破総裁は調整型の森山裕氏と鈴木俊一氏に支えてもらう形になりそうだ。森山氏はさっそくおシゴトをしたことになる。

麻生太郎氏は「高市早苗氏を支えた」ことが評価されたことになっているが高市氏は政権とは距離を置く考えのようだ。小林鷹之氏も広報本部長(河野太郎氏が一時「幽閉」されていた)のオファーを断っている。小泉進次郎氏は選挙対策の責任者になったがおそらく実務は森山裕氏らが担当することになるのではないかと思う。

石破氏はアジア版NATO・日米同盟の改定などにかなり熱心なようだ。防衛大臣経験者が党では政調会長(小野寺五典氏)となり、政府では外務大臣(岩屋毅氏)として支えることになる。また総理補佐官としてアメリカにパイプがある長島昭久氏が起用された。ただし具体的な動きが出てくるのは11月の大統領選以降だろう。またこの議論は選挙後の防衛増税議論に接続している。

これまで安倍派支持者たちは防衛議論と増税議論が接続される状況を直視してこなかった。しかし、高市早苗氏が離脱し「石破ショック」と呼ばれる為替と株価の変動を目の当たりにした。石破新総裁のペットプロジェクトである防衛増強・増税の議論が変質するかこのまま推進されるのかは注目ポイントだ。

財務大臣は麻生派から引き剥がされた。REUTERSは「アベノミクス推進を訴えていた」加藤勝信氏と紹介している。「意外な評価があるものだ」と感じた。個人的には支持が広がらないことに焦り安倍派の支援を得ようとしたのではないかと思うが真意は定かではない。高市トレードに期待した海外投資家たちの投資行動により円高・株安の方向に動いている。海外投資家がこのREUTERSの記事を読んでくれればいいのにとは思うが円高傾向は是正されていない。石破氏は懸念の払拭に懸命で「利上げは急がない」と言及しているそうだ。朝日新聞には加藤財務大臣という名前がない。

自治から通信まで巨大な権限を持つ総務大臣には安倍氏を国賊と称したことがある村上氏が内定した。石破氏の推薦人だったそうだが、産経新聞はわざわざ国賊発言を取り上げた記事を出している。

こども政策担当大臣には三原じゅん子氏の名前が挙がっている。自民党には女性の権利向上と子育て政策に熱心な人と男性的(あくまでも自民党支持の保守的なというただし書きがつくが)な価値観を強調する政治家がいる。前者は野田聖子氏を通じて小泉陣営に加わり残りは上川陽子氏を支持した。このため「石破陣営には後者しか残らなかったんだろうな」と感じる。過去の八紘一宇(はっこういちう)発言などからタカ派イメージがあるが実は安倍派ではなく無所属。育てに期待する現役世代にアピールするとは思えないので野田立憲民主党にとっては有利な人選かもしれない。

御法川氏という聞き慣れない名前が取り沙汰されていた。昨日「麻生派外し」という記事を書いたので「麻生派とは意外な人選だなあ」と思ったのだが、SNSでは「御法川壺議員まつり」が盛り上がっていた。SNS探偵の人たちって実にいろいろとよく覚えているものだなあと感心させられる。復興大臣だったそうだが本人が辞退したという名目でキャンセルされたようだ。

公明党の利権である国交大臣は斉藤鉄夫氏が続投する。

前回は「麻生氏と福岡で争っている武田良太氏はどうなるのだろう?」と書いたのだが結局名前は出なかった。つまり、受け皿になった小林鷹之氏と高市早苗氏を加えた安倍派と二階派の関係者の名前がないということになる。

デジタル担当大臣には党側で盛んに情報発信をしていた平将明氏が就任した。あの河野太郎氏のあとなので誰がやってもそれなりに「ああ良かった」という気持ちになる。デジタルに詳しくない人は「紙の保険証がなくなったら人が死ぬ」と騒いでいる、自民党デジタル社会推進本部web3プロジェクトチームの座長をやっていてホワイトペーパーなどを出している。つまり事前に政策構想ができているためおそらくそれなりにバックグラウンドがある提案を出してくるものと考えられる。あとは、時代についてゆけていない人たちにどの程度目配りできるかの力量も問われるのかもしれない。

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