Yahoo!知恵袋にはいくつか「よくある質問」というものがある。一眼レフコミュニティでは「どの一眼レフを買えばいいですか」というものと「ディズニーランドにはどの一眼レフが向いていますか」という質問が多く寄せられる。
最初の質問はわかる。一眼レフは選択肢が多すぎる。だが、なぜディズニーランドに一眼レフを持ちこまなければならないのかがよくわからない。いろいろ調べてみると、ディズニーランドには一眼レフを持っている女子が大勢いるらしい。
詳しくみると、ディズニーランドには乗り物派とアトラクション派がいるということだ。このアトラクション派はディズニーランドに命をかけており、その思い出はできるだけ特別な機器で撮影しなければと考えるのだろう。
そうしているうちに「みんなが持っている」ものが欲しくなる。同調圧力に弱い女子たちは「私も一眼レフにしないと負ける」と考えるのだろう。そもそもみんなが行くからディズニーランドにゆくわけで、もともと同調圧力に弱い人が集まっていると言える。だが、実際には一眼レフでないと撮れない写真というのはそうそうないわけで、どのカメラを買ったらいいのですかという質問になるのだろう。
例えば鉄道写真を撮影したい人「動くものを綺麗に撮影したい」と考えるので、道具のスペックを容易に決めることができる。もともとシステム化が好きなのだから、仕組みから説明してやると喜ぶかもしれない。しかし、ディズニー女子は「できるだけ簡単に綺麗な写真が撮りたい」という希望を持っているので、アドバイスのしようがない。一番簡単に写真が撮影できるのはスマホなのだが「それでは特別感」がなくて嫌なのだろう。序列意識もあるのかもしれない。パレードの一列目には一眼レフを持った人たちが並ぶのだそうだ。
確かに一眼レフの満足度は高そうだ。ショーは原色系を多く使っているので「鮮やかな」写真が簡単に撮れる。実際に消費者が求めるのは派手な色彩とシャープさなのだが、これはカメラではなくソフトウェアで作っている。実際には超現実であってリアルな写真というわけではない。コツがあるとすれば遠近感をつけることだろう。一眼レフは背景が綺麗にぼやけるので、構図がある立体的な写真が撮影できる。いずれにせよ、色鮮やかな写真を見た人たちが「パレードを見たら写真を撮影しなければ」と考える。実際に一眼レフを構えたパレード女子を見て、さらに一眼レフカメラを買うという構図になっている。
同じような構図はスマホで見られる。日本は世界的にも有名なiPhone大国なのだが、これも友だちや同僚がiPhoneを使っているのを見ているうちに「スマホといえばiPhoneでなければならない」と考えることが原因になっていそうだ。スマホは顕示型消費なのだが、ディズニーの一眼には祝祭という要素が加わる。
面白いことに子連れになると一眼レフ熱は冷めるようだ。子供連れは荷物が多く、取り回しの悪い一眼レフは邪魔でしかなくなるのだろう。
いずれにせよ、東京ディズニーランドは文字通りの劇場であって、劇場は消費意欲を掻き立てやすいということが言える。ものを売るためには、機能だけを訴求していてもダメらしい。