イスラエルがヒズボラの持っている無線装置に爆発物を仕掛けた。サプライチェーンに浸透する巧みな作戦だったためヒズボラはかなり動揺したのではないかと感じた。だが、BBCの意見は異なるようだ。本来は無線機爆発で動揺した隙をついて総攻撃を仕掛ける予定だったそうだがその計画は実現しなかった。その意味ではイスラエルの作戦は失敗したことになる。それでも共同通信によると37名がなくなっている。
BBCが根拠にしているのはあるニュースレターだ。
しかし、中東で広く信用されているニュースレター「アル・モニター」によると、イスラエルは期待していた形では、通信機器を武器として使えなかったのだという。そもそもは、ヒズボラが動揺している間に、イスラエルが壊滅的な攻撃でたたみかけるという計画だったのだそうだ。ニュースレターの報道によると、通信機器攻撃は、大々的な情勢激化の幕を切って落とすものになるはずだった。一大攻勢の一部として、あるいはレバノン南部侵攻の発端として。
【解説】イスラエルにとって戦術上の勝利、だがヒズボラへの抑止効果はない……BBC国際編集長
ヒズボラ側は予備調査で爆弾が仕込まれていることを察知していた。
それでも37名がなくなったことから「わかっていたのに全体に周知できなかった」ことになる。まとまった組織がなく普段はバラバラに活動しているということなのかもしれない。ポケベル犠牲者の葬儀では「通信できない状態にしろ」という声が飛び交っていたとも伝わる。それでもトランシーバー爆発が防げなかった。
ポケベルは台湾製と言われているが台湾メーカーが直接製造したものではない可能性が高い。BBCはハンガリーの企業が製造したものとしていたがペーパーカンパニーだったそうだ。トランシーバーは日本製と言うことになっているがかなり旧式のもので偽物も出回っている。流通経路が複雑化している。
国際社会からの批判も高まっている。国連は「民生機を武器にできないようなルール作り」を呼びかけているそうだ。つまりこれまで誰も考えつかなかった卑劣な行動に出ていたということだ。レバノンでも「イスラエルは民間人の犠牲は厭わない」と批判が高まっている。
なぜイスラエルがこの様な作戦に出たのかはよくわからない。
ガラント国防大臣には更迭の噂がある。全く「エビデンス」がない話なのだが自分の地位の安全のために思い切った成果を上げようとした可能性も否定できない。
イスラエルのガラント国防相は18日、同国の戦争が「新たな局面」を迎えていると述べ、レバノンで17、18日に発生した通信機器の爆発への関与を暗に認めた。ガラント氏はイスラエル北部の空軍基地を訪れ、「イスラエル軍はイスラエル総保安庁(シンベト)、情報機関モサドと共に素晴らしい成果をもたらしている」などと述べた。お
イスラエル国防相、レバノンでの爆発関与を示唆 「新たな局面」(CNN)
そもそもネタニヤフ首相が権力を保持し続けるために戦争を継続している。仮に「権力闘争のために周辺国の民間人を巻き込んで混乱を引き起こしている」と考えると、権力者が持っている執着の並々ならぬ強さを感じさせる。
日本では「憲法改正は日本を戦争に引きずり込む悪の企みだ」という意見が聞かれる。だがその「戦争」はおそらく国と国同士の総力戦のようなものだろう。
イスラエルの事情を見ると新しい形の戦争の相手が国であるとは限らない。また戦闘行為と国内の権力闘争は一体となっていて分離できない。また「防衛」と「攻撃」の間にも線引はない。
また欧米の人たちは「無線機爆発のようなことが自分たちにも起こるのではないか」と感じている。だから通信機器がどのように爆発したのかを知りたがる。民生品が民間人を巻き込んだ攻撃に使われたことで我々の生活と戦争も地続きになっている事がわかる。
本当に「平和」を志向するならば、新しい戦争の形に正面から向き合う必要がある。
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