ページャー(日本ではポケベルとして知られる)爆発騒ぎがあったレバノンで再び爆発騒ぎがあった。今度は無線機(トランシーバーとも)が爆発して死者も出ている。ページャーは台湾メーカーのものと言われているそうだがトランシーバーにはMade In Japanの文字が確認できるという。
今回は「何が爆発したのか」に注目が集まっている。日本人から見ると不思議な展開だ。リチウム電池が過加熱したのではないかと言う説が出ているがこれだと我々が使っているスマホも潜在的に危険ということになる。この説は確定しておらず「別の爆発物が仕込まれた」という説も消えていないそうだ。
日本人には注目されていない問題を敢えて取り上げたのは、今後「リチウム電池は危ない」「スマホは危険」という風説が流れる可能性があると考えるからである。情報を拡散する前に「いやちょっと待てよ」と思っていただきたい。
先日、レバノンでページャーの爆発事故が起きた。ヒズボラの兵士を狙ったもので市民も大勢巻き添えになった。イスラエルは防衛戦争だと思っているのだろう。だがガザ地区でもレバノンでも大勢の市民が巻き添えになっておりイスラム側から見れば市民を巻き込んだテロとみなすこともできる。
昔も今も、戦争には様々な意味付けがあり白黒がはっきりしない。
一日経って今度は無線機(トランシーバー)が爆発した。残念ながら今回も死者が出たそうだ。
こうした映像はSNSに乗って拡散される。市民たちはヒズボラの戦闘員は危ないと感じるようになるかもしれない。極めて現代的な情報戦の側面もある。
このニュースを見たときに「小さなページャーに爆弾など仕込めるのだろうか」と考えた。
やはりアメリカではここに注目が集まっていたようだ。リチウム電池を加熱させたと言う説がでているそうである。内部に爆薬を仕込まなくても「最初から爆発物があった」ならば仕込みは難しくない。
CNNは通信機を「台湾のゴールドアポロ社製」としている。
Israel behind deadly pager explosions that targeted Hezbollah and injured thousands in Lebanon
ゴールドアポロ社はヨーロッパのパートナーが作ったものだとしているが社名は明らかにしなかったようだ。CNNはハンガリーの企業のOEM品と見ているようである。ハンガリーの会社がヒズボラと直接取り引きをしているようなのでそのプロセスの何処かにイスラエルのエージェントが入り何らかの仕掛けをしたと考えられている。
ちなみにトランシーバーは日本製だったという情報がある。REUTERSの記述は次の通り。
Images of the exploded walkie-talkies showed labels with “ICOM” and “made in Japan.” According to its website, ICOM, which did not immediately reply to a request for comment, is a Japan-based radio communications and telephone company.
Hezbollah devices explode again in Lebanon, raising fears of wider Israel conflict
The company has said that production of model IC-V82, which appeared to be the model in the images, was phased out in 2014.
Quoraでは経済制裁があるのだから持ち込みは難しかっただろうと指摘する人がいた。その複雑な流通網を徹底的に調べ上げたうえで拠点に入り込み膨大な数の通信機の一つひとつ仕掛けをしていったのだ。おそらくヒズボラの通信網は甚大な被害を受けていることだろう。
CNNはこの中で「外からリチウム電池に過負荷がかかるように細工をした」と言う説を紹介している。この説に従うと我々が普段使っているスマホなども潜在的に爆弾になるということになる。つまりこの説が独り歩きすると「スマホは危ない」という風評被害につながりかねない。
そこでCNNは別の記事で「まだ最終的に確定した説ではない」と言っている。記事のタイトルは「どのようにしてレバノンのポケベル攻撃が起きたのかはわかっていない 我々の電子機器についてわかっていること」という意味になる。
日本において中東問題は「対岸の火事」とされている。つまり我々の生活には直接の関係がないとみなされる。だから、日本で「自分のスマホは大丈夫なんだろうか?」などと考える人はいない。せいぜい「中東って怖いところだね」出終わりだろう。
しかし、アメリカ人やヨーロッパ人にとってこの問題は「今そこにある危機」であり自分たちの生活に直接接続している。だからこそ「我々の電子機器」が大丈夫なのだろうかと言う懸念が生じるわけだ。
とはいえ、最近では英語の情報がそのまま翻訳されて断片的に伝わる機会も増えている。今後関連する投稿を見たらそのまま安易に拡散する前にぜひ周辺情報も合わせて調べて見ていただきたい。
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