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斎藤元彦兵庫県知事は誰に洗脳されたのか?

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斎藤元彦兵庫県知事の百条委員会が人民裁判状態になっている。この問題を最初に見たときには「斎藤知事のパワハラぶりは目に余る」と思っていたのだが、メディアの吊し上げを毎日のように見せつけられると「本当にそれでいいのだろうか?」という気がする。

週刊誌などではすでに「牛タンクラブ」という存在が指摘されているという。単身で乗り込んでいった知事を人間関係に熟知していた人たちが取り込むことは簡単だっただろうなと想像してしまう。

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これまでの報道で徐々に斎藤知事が「変わってしまった」姿が明らかになっている。1つはカンテレの「3年のあいだに、こうも変わってしまうのか」ではじまる記事だ。叱責型の副知事とヨイショの副知事の対比が出てくる。もう一つがポストセブンの「知事は年功者が嫌い、井戸前知事が嫌い」という記事である。

どうやら斎藤さんは変わってしまったと考える人が多いようなのだがその理由を分析した人はいない。知事は頑なになっており(そもそも問題発覚以前に頑なになっていたようだ)知事から本心を聞き出せていた人がいないからである。

その背景に前知事の影がちらつく。ここでどうしても考えてしまうのが「これまで非主流派と呼ばれていた人たちが「民意」を背景に自分たちの権力を拡大しようとした」可能性である。県庁は狭い閉鎖された村でありおそらくそこには前の知事とうまくやっていた主流派とそうではない人たちがいたはずである。

単身乗り込んできた知事に対して「県庁にはあなたのことをよく思っていない人が大勢いて、あなたのことを知事とは認めていませんよ」と徐々に吹き込んでゆけば、おそらく知事は被害者意識をつのらせ「自分こそが知事なのだ」と顕示するようになるだろう。

しかしその取組は集団的なものであり暴走の結果人命が失われることになった。

もちろんこれらの話はすべて「根拠のない憶測」に過ぎないが、傍証はある。それが牛タンクラブである。

名前の由来は明らかではないが、斎藤知事は東日本大震災関連業務に関わっていたことがあるそうでこのときに兵庫県の一部の幹部たちとの交流が生まれているのだという。この牛タンクラブの1人の奥さんのために特別に人事優遇プログラムを作っていたのではないかと文春オンラインは伝えている。牛タンの名前の由来は明らかになっていないが「兵庫県の人が仙台といえば思い出すもの」なのかもしれない。つまり仙台人脈ということになる。

ではなぜこの根拠のない憶測とその検証が大切なのか。

もともと斎藤知事がなぜ選ばれたのかを思い起こしてみると良い。兵庫県民の一部(おそらく大阪府に近い地域の人たち)は変化を望んでいた。変化を起こすには政権交代が最も効果的だ。つまり「どうやったら改革がうまく行のか?」という目的意識を持つ事が重要なのだ。

改革派の知事に改革を実行してもらうためには組織的な応援と明確な目的意識が必要である。つまり兵庫県の維新議連(自民党につぐ第2会派でしかない)と協力し改革のロードマップを作るべきだった。

スキャンダル発覚後の維新議員団はまとまった情報発信をしていない。自民党の政治利用だとか改革に後ろ向きの人たちが知事を貶めようとしているだけだなどと言っている。彼らは知事の「刷新感」にフリーライドしているだけということになるだろう。

またメディアも本能に任せて「人格的に不適格な人たちは村から追い出さなければならない」と考える傾向にある。村を清浄に保つためには異物を排除しなければならないというのは我々が民族的に持っている本能のようなものだ。

おそらく現在のテレビの人民裁判ショーで「この問題に構造的な背景があるのでは?」と主張するコメンテータは「あなたは斎藤知事の味方をするのですか?」「みんなが村をきれいにしようと頑張っているのに?」と炎上して終わりになってしまうだろう。

千葉市でもかつて「政権交代」が起きたことがあった。前千葉市長が汚職で逮捕され国政レベルでも政権交代が起きた年である。千葉市の財政は危機的状態にあった。民主党の熊谷俊人議員が立候補し自民党・公明党系の候補(前副市長)を破って当選している。千葉市には「市長の汚職問題」「財政問題」という今そこにある危機があり新市長が取り組むべき課題は明確だった。また市議会議員として人間関係を熟知していた熊谷市長は自民党議員とも対立せず改革を優先している。

千葉市長選挙と比較すると今回の兵庫県知事は、刷新感はあっても明確な課題がなく県知事が人間関係を熟知せずに一人で放り込まれたということがわかる。とはいえ大阪維新も知事をバックアップすることはなかった。維新の「改革ごっこ」だったわけだ。維新の支援者もまた砂粒化した無党派でありまとまったアジェンダを出し問題を解決する糸口を見つけようとはしていない。これが改革ごっこ政党の限界だろう。

「知事が変わったことをきっかけに県政を私物化したい」と考える人が知事にいろいろな情報を吹き込んでいったと言う可能性は証明されていないながらも否定はできない。やはり良くも悪くも閉鎖された村社会であるということだ。内部の人間関係は誰にもわからずすべて「藪の中」である。

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Comments

“斎藤元彦兵庫県知事は誰に洗脳されたのか?” への2件のフィードバック

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    つまらない一般論ですが、パワハラやセクハラは本人の資質だけではなく、組織構造が強く影響しているものだと思います。
    斎藤元彦兵庫県知事が最初からこういうことをする人間ではなかったと思うし、思いたくないですね。彼の「わがまま」を許してしまったことが、ここまで彼を増長させてしまった要因じゃないかなと思います。
    年齢や立場が、過ちを正すことの弊害になっているのなら、それは本人にとって不幸なことだなと思いました。

    1. 防ぐことができなかったばかりか、それを利用した人もいるってことなんでしょうね。おそらく「どっちが悪い」では利用した人たちのほうが悪いと思うんですが、そもそも利用されるような人を知事に据えるべきではないし、据えたなら政党で組織的にサポートしないといけません。被害を被るのは県の一般職員と一般県民ですから。

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