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旧東ドイツ地域でAfDが躍進 親ナチス的言動も徐々に浸透

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ドイツ東部で地方選挙が行なわれた。出口調査の段階ではチューリンゲン州では極右「ドイツのための選択肢」(AfD)が第一党に躍進し、ザクセン州ではCDUについで第二党になる可能性がある。ブランデンブルク州は3週間後に選挙が行なわれる。長引く経済低迷を背景に反移民感情・ウクライナ支援拒否感情も高まっており、ナチス擁護の発言も徐々に増えている。

このため、今回の地方選挙は「今後のドイツ政治はどこに向かうのか」と不安が残る結果になった。

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共同通信が「反移民ドイツ右派が第1党の勢い 州議会選、政権への不満拡大」という記事を出している。共同通信としては長めの記事だがやはり短すぎてよくわからないが、タイトルからなんとなくドイツ全体が極右に支配された印象を持つがそうではない。

チューリンゲン、ザクセン、ブランデンブルクからなる旧東ドイツ地域で地方選挙が行なわれている。チューリンゲンではAfDが躍進したが単独過半数は確保できない見通し。ザクセンではCDU(メルケル前首相が所属した政党)が第一党でAfDは第二党になる。ブランデンブルク州では3週間後に選挙が行われるため情勢は未確定だ。

共同通信の見出しだけを読むとドイツ全体で反移民政党が躍進したと読めるが、実際には単独で政権を獲得できるほど各州で躍進したわけではない。BBCドイチェ・ヴェレの報道を合わせるとチューリンゲンでも左派政党がCDUと組んで組閣できないかが話し合われるようだ。

BBCとドイチェ・ヴェレはむしろ「与党が惨敗した」ことを問題視しているように見える。特に緑の党はかなり支持を落としていてチューリンゲンでは政党要件を失うかもしれないという。連邦議会選挙への影響は避けられそうにない。

背景にあるのはおそらく長引く不況である。ドイツでは2021年に総選挙が行なわれた。メルケル首相は政治家を引退したがCDUは与党の座を守れなかった。

政権交代の原因はやはり経済だ。ヨーロッパの中で一人勝ちしてきたドイツ経済の低迷が背景にあるものと思われる。中国の経済失速・アメリカと中国のデカップリング・ウクライナの戦争によるエネルギー供給不安・コロナ禍などが複合的に絡み合っており、なぜドイツ経済が失速したのかはよくわかっていない。

だが、CDUに代わって政権を獲得した社会民主党・緑の党・自由民主党は結果的に国民の期待に応えられなかった。

そんななかゾーリンゲン市で失踪難民が市民を刺し殺すと言う事件が起きる。ドイツ政府は強制送還等の強い措置を講じているが、やはり選挙への影響は避けられそうになかった。むしろ刺殺事件があった割にはAfDの躍進は抑えられたといえるのかもしれない。

なお今回の件で各媒体が最も懸念するのが「ナチス的言動の復活」である。今回もチューリンゲンのトップ候補ビヨルン・ヘッケ氏はナチスのスローガンを使用したとして罰金を課されたなどと報道されている。

時事通信はザクセン州の州とドレスデンの状況をこう記している。ドイツ全体の経済が低迷し東西の格差も埋まらない。

州都ドレスデンから南西約20キロのピルナでは7月、小学校の児童らがナチスを象徴するかぎ十字を作ったり、右翼の間で流行している「外国人は出ていけ」という替え歌を歌ったりしたことが明るみに出た。「昔はあり得なかった。今は右翼の憎悪表現が当たり前になっている」。同じ学校に子どもが通っているという自営業の男性は嘆いた。

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AfDの政治家たちは度々ナチス的な言動を繰り返しており、EU議会の右派会派からも除名されているほど過激化している。EUも極右が席巻しているがさすがにAfDの主張を受け入れるのは厳しいようである。現在、EU議会の極右ブロックは連携を模索している最中だそうだが、国内で穏健派を取り込む必要があり「脱極右」を演出する傾向にある。このため、AfDはどの政党とも協力関係にない。

同紙とのインタビューで、クラ氏は次のように語ったとされる。「誰かを犯罪者だと宣言する前に、その人物が何をしたのか知りたい。90万人のSS隊員の中には、多くの農民もいた。確かに犯罪を犯した者の比率は高かったが、全員ではなかった。SSの制服を着ていれば誰でも自動的に犯罪者になると言うつもりは全くない」

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その意味では事前に想定された程はAfDが躍進しなかったとも言えるが、かつてナチスが絶対的タブーだったはずのドイツの変化に心穏やかでないと言う人も多いようだ。かつてはヨーロッパの中で経済と民主主義の優等生だったはずのドイツが先行して先鋭化しているのである。

フランスでは未だに新しい政権ができていない(マクロン大統領が左派の首班を拒否している)がドイツの将来にも不安が残る結果となった。域内の経済不安を背景に外交・安全保障で何も決められないヨーロッパが誕生する可能性もありそうだ。

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