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裏切られた若者の期待 台湾で柯文哲氏が逮捕

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台湾(中華民国)の第三党(台湾民衆党)党首の柯文哲氏が逮捕された。台北市長時代の開発に関わる汚職疑惑だった。柯文哲氏は政治資金の問題ではスキャンダルも抱えているがこちらは「人に任せすぎたのが原因」と釈明している。

外科医出身で「政治経験がない」ことが若者を中心に支持されていた。日本への直接的な影響はないと考えられるが台湾では若者を中心に政治に対する不満が高まっているのが気がかりだ。状況次第では経済成長を求めて大陸中国に接近する事も考えられる。

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REUTERSなど各メディアが台湾民衆党の柯文哲党首の逮捕を伝えている。台湾民衆党は民進党と国民党に続く第三政党だが過半数政党がないため政治的インパクトが大きい。逮捕容疑は台湾市長時代の不動産プロジェクトの許認可不正だそうだが政治資金のスキャンダルも抱えている。このうち政治資金スキャンダルに関しては大筋で認めているが「部下を信頼して任せたのが間違いだった」と釈明している。このあたりは日本の政治家とあまり違いがないのだなと感じた。

韓国でも政党党首を狙い撃ちしたスキャンダルは多い。しかし台湾の検察はかなり信頼されているようで「検察と政治権力が結託した」という批判は出ていないようだ。

むしろ今回の逮捕では若者への影響が懸念される。

中国から入ってきた国民党は親中国に傾いている。そのカウンターとしてできたのが中国からの独立を訴える民進党だった。ところが若者の間にはもはや中国に対する特別な感情はなくむしろ台湾人意識が強まっている。

問題は低迷する経済だった。

柯文哲氏はこうした若者の不満の受け皿になっている。外科医という政治素人の立場からわかりやすい発言で若者を引き付けてきた。

日本では「日本の若者は政治参加意識が低いが台湾はそうではない」などと報道されることもあったと記憶している。だが結果的に台湾民衆党も「裏では汚職に手を染めていた」ということになる。将来不安を背景に熱心に台湾民主党を支援してきた若者は裏切られた気持ちでいっぱいなのではないだろうか。

日本であれば徐々に政治的冷笑と政治離れが進みそうな状況だ。だが台湾は国民党独裁の期間が長かった上に政治的な舵取りを間違えると中国との戦争に巻き込まれかねないと言う厳しい国情がある。このため若者の政治参加意識は高くおそらくその状況は今後も変わらないだろう。単に若者の意識が高いだけでなく政治は自分たちの暮らしに接続した切実な問題なのだ。

むしろ問題になるのは「親中国」への傾斜だ。台湾の若者は経済成長の鈍化から閉塞感を感じている。とはいえ台湾人意識も強く「中国とは是々非々でやってゆきたい」と考えているようだ。だがその背景にあるのはアメリカの継続的な支援である。仮にアメリカ合衆国が同盟主義を維持してくれればこの状態は維持されるのだろう。

だが、トランプ政権は「台湾は半導体の仕事を奪った」とか「台湾もアメリカに防衛費を支払うべき」などと主張している。トランプ氏は同盟を警備会社ビジネスだと理解している。

現時点では柯文哲党首氏の逮捕は単なる台湾政治の問題でしかない。しかし高まる若者の不安が背景にあり、国際状況の変化(特にアメリカの大統領選挙)次第では今後の台湾海峡問題に大きな影響を与えるかもしれない。

仮にアメリカ合衆国の政策が大きく変わってしまうと「目の前にある中国とのビジネスを通じて経済的に豊かになろう」と考える人達が出てきても何ら不思議ではない。PIF(太平洋諸国)のようにちょっとした援助でつなぎとめるには台湾の経済力は大きすぎる。

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