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ピリ辛河野太郎氏の参戦 自民党の総裁選挙は撤退戦に突入

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自民党の総裁選挙が活気づいている。まず「刷新感」のある小林鷹之氏が支持者獲得に成功した。続いて河野太郎氏が出馬表明するものと見られている。一方で茂木敏充氏は麻生太郎氏からはしごを外され「夏の間どうするか考える」とトーンが変わっている。石破茂氏は「推薦人の目処が立った」としているがいつ発表があるかはわからない。

自民党の総裁選挙には様々な刺激の強いピリ辛人材がでてきそうだが、最終的に選ばれるのは豆腐のような記憶に残らない人なのかもしれない。

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河野太郎氏は麻生太郎氏からなかなか良い返事がもらえなかったが今回は出馬容認を取り付けたようだ。いよいよ河野太郎氏に追い風だと思いたくなる。

一方、河野氏は16日、所属する麻生派の麻生太郎会長(副総裁)と会談。改めて出馬したい考えを伝え、麻生氏は「しっかり準備しなさい」と容認した。推薦人20人の確保はめどが立ったという。

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だがどうも様子がおかしい。自民党はできるだけ総裁選を長引かせる作戦に出た。総裁選は9月末になりそうだ。自民党総裁選の間は政局報道が中心になり自民党のマイナスになる報道が抑制される。また立憲民主党の代表選挙も報道されなくなる。

ところが若手・中堅を中心に「選挙が終わったらすぐに総選挙を実施すべきだ」と言う意見がある。つまり選挙戦で夢を語ることはできても実効性のある政策は打ち出せないだろうと当事者たちが考えていることになるだろう。戦う前から事実上の敗北宣言が出ており、国民はそれを冷静に観察している。

ではどのような人物が次期総裁にふさわしいのか。小林鷹之氏は見た目の爽やかさを売り込み「刷新感を演出する」逸材とみなされている。しかしその実態は「政治と金の問題で躓いた政治家のレスキュー要員」であり統一教会との深い関係も噂されている。あくまでも「刷新」ではなく「刷新感」であり「ハーブ系」候補と言える、。だが、政権運営が始まってしまうと煮込まれて本来の肉の臭みをカバーできなくなるかもしれない。

一方の河野太郎氏はピリ辛系だ。

河野太郎氏はワクチンやマイナンバーカードなど手掛けるプロジェクトがことごとく大騒ぎになっている。面倒な問題を押し付けられたと言う評価もあれば本人の資質の問題である言う声もある。いずれにせよ河野氏が総理大臣になれば意欲的な改革はことごとくバックファイヤーし日本中は大騒ぎになる。もっとも河野氏寄りに解釈すれば河野氏の高すぎる理想に国民と地方自治体が付いてこれないだけなのかもしれない。いずれにせよ政治に刺激を求める人は一定数いる。

麻生太郎氏は「影響力が落ちた」などと囁かれている。だが手持ちに河野カードと茂木カードしかないとするとその選択は意外に合理的なものである。あえて茂木支持に回り落選してしまうと「麻生氏は終わった」と評価されるだろう。であれば、総理大臣になる目がないにしても自派閥の河野太郎氏を応援したほうがまだダメージが少ない。長年影響力を行使し続けるためには出るとき以上にでない局面の見極めが重要なのである。

このように総裁選の候補を見ていると「夢を売る」というような積極的な打ち出しはほぼない。代わりに「いかにダメージを少なくするか」に関心が集まっている。

このように考えると、自民党の総裁選の勝ちパターンも見えてくる。それは「党内に様々な可能性がある」とハーブ系・ピリ辛系の候補者たちを並べ可能性ををほのめかしつつ、最終的にはもっと無難で何もしない人が総裁・総理にするというパターンだ。

その意味では誰にも嫌われない加藤勝信氏が次の総理に最も近いのかもしれない。これまでも様々な要職を歴任してきたが「これといった実績も失敗もない」という人だ。口当たりが良く記憶に残らない「豆腐総理」が変化を嫌う国民には最もふさわしい。

食べたいと想像する料理と実際に選ぶ料理が違っているというのはよくあることである。特に選挙に行く中高年の最大関心事は現状維持だろう。日本はこのまま衰退してゆくかもしれないが自分たちの世代は逃げ切れると考える有権者が多い。本音では「もう何も触ってほしくない」のが国民の本音なのかもしれない。

その意味では次の総理大臣のミッションは負けを最低限にしたうえで、あとは何も失点材料を作らず国民感情を刺激しないことなのかもしれない。

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