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茂木敏充幹事長は麻生太郎氏から脱却できるか

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茂木敏充幹事長の国民人気は極めて低い。麻生太郎副総裁と親密な守旧派と言う印象があるからだ。仮に麻生氏主導で茂木氏が総理大臣になるとおそらく国民は「また自分たちの声は活かされなかった」と落胆することだろう。だが実はこのイメージはメディアによって作られた可能性が高い。茂木氏にはアメリカに対する有力な交渉人と言う知られていない一面がある。守旧派のイメージを払拭し実務派としての評価を確立できるかが支持拡大の鍵になりそうだ。

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Bloombergが次の総裁候補について論評している。海外投資家はこの少ない情報から次の金融・経済政策を読み取ろうと必死である。Bloombergの茂木評は次のようになっている。

茂木氏は最近、日銀は金融政策を正常化させる方向性を明確にすべきだとの考えを示した。現在、党のかじ取り役を担う幹事長で、外相などの閣僚も務めている。米ハーバード大出身で、党内では「タフガイ」のイメージもある。政治アナリストらは、11月の米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、茂木氏は故安倍晋三元首相がトランプ氏と築いた個人的関係を再現できる可能性があるとみている。

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茂木氏は栃木県出身。東大からハーバード大学に進学しマッキンゼーに勤めた。その後大前研一氏の平成維新の会に参加し政界入りしている。意外に思う人もいるかも知れないが世襲ではない。平成維新の会の名前はその後大阪で換骨奪胎され現在の日本維新の会になったがもともとは地方分権と構造改革を訴える政治運動だった。

ReHackQが茂木氏と足利を回っている。どちらかと言えば世話好きのおじさんといったイメージの人だが「アメリカに対するタフネゴシエーター」と自分自身を位置づけているようだ。相手を研究し「少し花を持たせる」形でお互いの利益を確保するのが重要だと高橋氏らに説明している。少なくともこの内容にはスクリプト(台本)はなく「本当に交渉が隙なのだろう」と思わせる。

トランプ氏の経済政策は支離滅裂だがトランプ氏の側近たちが支離滅裂とは限らない。アメリカ側は国益を追求する動きに出るだろうがその意図を汲み取り側近たちがボス(トランプ氏)に良い報告ができるように配慮すれば日本側の国益を損ねない形でトランプ政権を取り込むことができる可能性はある。

しかしながら茂木さんにはいくつかの欠点がある。

彼はタフ・ネゴシエーターだが頭の回転が早すぎるために付いてこれないスタッフや議員たちに冷たい印象をもたれやすい。竹下派の領袖に収まったが小渕優子氏らに離反されている。

ReHackQでも餃子のタレを作ってやったりと「いい人ぶり」を発揮しているが多くを語りたがらず口下手な印象がある。茂木氏は「とにかくこれがうまいから」とタレを作り、その後自分のペースでノン・アルコール・ビールを手酌していた。物事を自分のペースで勝手に進めてしまう人なのだ。合理主義的な実利主義者とも言えるがこのため本来活かされてもいい「親切な人」という側面が誤解されている可能性がある。

これを補うために、竹下派を掌握し麻生氏と協力することで岸田政権の党内主流派というイメージをつけようとした。派閥内では小渕優子氏を次の領袖にしたい青木幹雄氏の一派と対峙しようとした可能性もある。

茂木氏はこの過程で麻生氏に近づきすぎた。麻生氏は岸田総理の政治と金の改革の抵抗勢力とみなされ茂木氏も「その一味」のように思われている。14日にも麻生太郎氏とステーキ会食をしているそうだ。

仕事ができる人とSNSの活用が上手で自己演出にばかり長けている人のどちらが総理・総裁にふさわしいのかというのは議論が分かれるところである。また仕事ができる人と仕事を任せられる人のどちらが総理・総裁にふさわしいのかというのも議論が分かれるだろう。

いずれにせよ茂木さんの場合は自己演出と情報発信に難点がありなおかつ守旧派と考えられることが多い麻生太郎氏に近づきすぎた。トランプ氏が大統領になる可能性がある今総理・総裁候補としては有力な候補者なのかもしれないのだが、まずは麻生離れを演出しないと総選挙の顔にはなれないのではないかと思う。

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