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とことん責任を取らない岸田政権で解散延期論が浮上

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株価が激しい上下動を繰り返している。本来ならばなぜこんな事になったのかを総括し岸田総理が自らテレビカメラの前に出て土下座すべきだろう。だが当然こんなことが起こるわけはない。自民党の中には「岸田総理が解散さえしなければ選挙が先延ばしになり国民は今回の騒動を忘れるのではないか」という空気が出てきた。

政治は起きたことを利用して成果を偽装する。このため彼らの定義はどこか曖昧で観測可能な定義がない。そして、政治は実際に何か役に立つものを生み出したことはない。これが現在の政治に閉塞感を生み出している。

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TBSが「岸田総理「当面解散する考えはない」自民党・総裁選の再選に向け“解散先送り”戦略浮上 支持拡大図る狙いか」と伝えている。岸田総理の総裁再選戦略として解散を避ける動きがあるという。「そんなバカな」とは思うのだが選挙に弱い議員達はこの決定を歓迎するのではないかと見られている。

冷静に考えると日本の経済政策はどこかおかしい。経済と株価が遊離していて別々の自称として語られる。株価が上がったり下がったりしても国民の生活実感に影響がないが、それでも人々は株価に一喜一憂している。

円安が進行すると政治家たちは「円安は是正されるべき」と口々に訴えた。特に河野太郎氏と茂木敏充氏の発言が記憶に残る。岸田総理も円安是正の意向があったとされる。植田日銀総裁はこの政治の要請を織り込み市場が予想していなかった金利引き上げに踏み込んだ。

ところがこれが折り悪くアメリカの「サーム・ルール・ショック」と重なる。アメリカ経済が急速に悪化するのではないかという観測に加え株価を下支えしてきた円キャリートレードの素地が崩れてしまい、株価が「死んだ猫が跳ねる」状態になった。

すると政治家たちは一転して「ほら見たことか」「金利引き上げは早すぎたのだ」などと言いだした。

これを受けて日銀・財務省・金融庁は三者会合を開き対応を協議している。三村財務官のコメントはほぼ何も言っていないに等しいため内部で何が話し合われたのかはよくわからないが「政府と連携している」と強調しているところから「自分たちが勝手に決めたわけではなく政府と連携しているのだ」といいたいのかもしれない。政治も日銀も頭の中が責任回避でいっぱいになっておりとても国民生活を心配する余裕はなさそうだ。

今回の「金利引き上げは早すぎた」論の根拠は鈴木財務大臣のデフレ状態からは脱却していない発言である。岸田総理は「デフレ脱却宣言」を選挙の切り札として温存しているのではないかと言われている。

このデフレ・デフレ状態には明確な定義がない。事実と主観を分離すべきだと考える西村ひろゆき氏流に言うならば「それってあなたの感想ですよね」程度の話でしかない。具体的な指標がなく誰も観測できないので否定のしようもないといった程度の話である。

このデフレ状態の実体はなにか。

REUTERSに2つの相反する記事が出ている。ボーナスが好調だったため実質賃金が27ヶ月ぶりに上昇した。だが家計の実質消費は二ヶ月連続で縮小している。市場の予測を上回る減少率だったそうだ。

岸田総理を応援する人たちは実質賃金のことばかりを喧伝する。日銀出身で岸田派の神田潤一議員はこのような投稿をしている。

だが企業は政府を信頼しておらずしたがってベースではなくボーナスでしか成果を分配しない。このため景気の好循環が起こらない。家計も政府を信頼していないため消費が上向かない。消費者が見ているのは眼の前の物価上昇だけである。神田氏の「よっしゃー」もポジショントークとみなされ笑いものになることはあっても信頼されることはないだろう。

国民は政治を信頼せず節約志向が染み付いている。これこそがデフレマインド・デフレ状態といえる。デフレ状態を解決するためにはまず自民党的な政治を取り除かなければならないということだ。

ここで最大の障壁は野党の不在だ。自民党に代わる新しい政権が出てこない。その理由は明白だ。小沢一郎氏は「とにかく泉健太ではダメだ」といい続けているそうだ。泉ではどうしようもないがかといって自分では候補者が出せないという手詰まり感の現れだろう。小沢氏は「私は出馬しない」と言っている。誰も小沢氏を支持しないことがよくわかっているのだろう。

立憲民主党の代表選挙をめぐり、小沢一郎衆議院議員を中心とするグループは、現職の泉代表のままではほかの野党との連携が進まず政権交代は困難だとして、泉氏以外の候補者の擁立を目指す方針を確認しました。

立民代表選 小沢一郎衆院議員らグループ 泉氏以外の擁立目指す

平成初期の小沢氏は経済団体と労働者団体をうまく結びつけ自民党に代わる新しい政治の塊を作った。だが現在の無党派を取りまとめる団体はない。一人ひとりの政治家が説得力のある発言をしなければ支持は広がらない。蓮舫氏の失敗でわかるように現在の市民運動は仲間同士のお遊びでしかなく国民の信頼は勝ち得ていない。

自民党は偶然作られた「成果」にフリー・ライドしているが立憲民主党もまた生活者を取りまとめてきた団体にフリー・ライドしてきた。政治は何も生み出さずただなにかに乗っかってそれをあたかも自分たちの成果のように強調するのが「自民党型の政治」だったことになる。ここから脱却できない限り政治不信と「デフレマインド」が払拭されることはないだろう。

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