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日銀の政策決定会合のあと、サーバーが落ちたらしい

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日銀が政策決定会合を行い0.25%の金利誘導を決めた。ゼロ金利政策から脱却したのだ。このときに日銀のサーバーが一時ダウンしたようだ。

Bloombergが「【コラム】植田総裁の大一番、ブラックホールに落ちた-リーディー」という記事で紹介している。このコラムの書き手は植田総裁の手法と日本特有の曖昧さにかなりイライラしているようである。

コラムは「外国人投資家は日銀のコミュニケーションにイライラしている」という内容に過ぎないのだが、背景に日銀が今回の金利引き上げをかなり強引に決めたと言う事情が透けて見える。

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コラムは「情報が取れなくなること」をブラックホールと言っている。日銀の政策決定会合が海外の投資家・投機家から注目されていることがわかる。

日銀が7月31日に重要な決定を下す直前のしばらくの間、これが現実になると危惧された。世界中のトレーダーやアナリスト、ジャーナリストが日銀のウェブサイトにアクセスすると、「現在アクセス集中などにより一時的に閲覧できません」というメッセージが表示された。

【コラム】植田総裁の大一番、ブラックホールに落ちた-リーディー

日本人は曖昧さが大好きだ。アベノミクスは誰の目にも破綻しており日本経済も脆弱な状態が続いている。だがこれを直視すると暗い気分になってしまう。そこでそれらを見て見ぬふりをして「金利引き上げが天から降ってきた」ような報道に落ち着いた。

植田総裁は河野太郎氏や茂木敏充氏の「円安を是正すべき」発言をきっかけに政治の側から金利引き上げもやむなしと言う空気を感じ取ったのだろう。

仮にアメリカの経済が行き詰まり金利の引き下げが行われると日本にとって金利引き上げの窓は閉じてしまう。また9月には総裁選が行われる。現在誰が出馬するかはわからないが、金利引き上げに慎重な「上げ潮派」候補者が優勢になる可能性も否定はできない。そこで当初想定されていなかった7月利上げの検討をほのめかす報道を各社に流した。今回は1社ではなく複数の媒体(ロイターによるとNHK・時事通信・日本経済新聞)に事前リークしたようだ。

今回の政策決定会合では2名が金利引き上げに反対している。1名は企業の統計を見極めるべきだと主張し、もう1名は賃金上昇が全体に行き渡っていないのではないかと懸念を表明した。しかし、財務省と内閣府は政治の側の雰囲気を忖度し議決延期請求権を行使しなかった。

実体経済が良くなっていないにも関わらず利上げに踏み切らざるをえなかったのだから金利引き上げの正当化は苦しいものになる。だが日本側のメディアはそれがわかっているため植田総裁の発言を「右から左に」伝えていた。

だがこの海外のコラムニストはこの説明に無理がある事がわかっている。記者たちも「なぜそんなに急いだのか」と植田総裁に詰め寄ったそうである。

総裁は幾つもの理由を挙げた。個人消費は底堅い(そうではない)、大きな変化ではない(確かにそうだが、ではなぜ必要なのか)、などと理由を並べ立てたが、最終的には、物価が制御不能に上昇し突然の連続利上げを余儀なくされるのを回避するため先手を打ったという、ふに落ちないロジックに落ち着いた。

【コラム】植田総裁の大一番、ブラックホールに落ちた-リーディー

日銀は日本のメディアにはリーク情報を出したがこの手法は海外の金融界では「ご法度」とされている。FRBは事前に「何も話してはいけない期間」が設けられている。その理屈は極めてわかりにくいもので日本のメディア記事を見てもロジックがつかめない。さらに植田総裁の会見には英語通訳がつかないそうだ。

このため海外投資家は「なにか情報がないか」と日銀のウェブサイトにアクセスし日銀のサーバーがダウンした。そして植田総裁の発言が英語で理解されるにつれて「年内のもう一段階の利上げもあるかもしれない」という内容が伝わる。そこで一時ドル円は149円まで円高が進行している。

このコラムは「英語話者が情報から疎外されている」というだけのものなのだがいくつもの情報を読み取ることができる。

  • 円相場はかなり投機的に取り扱われている。ボラティリティが上昇し実体経済に良くない影響を与えている事がわかる。
  • 日銀の金利引き上げはおそらく企業活動や消費に悪い影響を与えるだろう。植田総裁のロジックには無理がある。だが政治が不安定なため植田総裁の選択肢は限られていた。
  • 不透明な情報発信は投資家の信頼を損ねる可能性があるばかりでなく誤解による偶発的な問題を引き起こしかねない。コラムの表現を借りると「翻訳ミスや意思疎通のずれが生じる可能性がある」ということになる。

今もドル円は乱高下を続けており151円台から149円台という荒い値動きをしている。一発逆転的なギャンブルを好む人達にとっては「良い動き」なのかもしれないが、資産形成と保全を狙う人たちにとってはまさに嵐といえる。

なおFOMCは8会合連続で金利据え置きを決めた。次回(9月)の利下げに期待をもたせる内容にはなっているそうだ。

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