自民党総裁選の選挙管理委員が発表になった。今後11名の選挙管理委員たちがルールを策定する。自民党はその時の状況に合わせて総裁選のルールを変えることで知られている。支持率回復の装置になっており「どうすれば最も盛り上がるのか」を考えるのだ。今回は地方の意見をどう取り込むかとお金がかからない選挙をどう演出するかに関心が高まる。
選管メンバーは岸田総理が任命したようだが「ある陣営からは不満の声」という報道があった。TBSは名指ししていないが日経新聞は高市陣営だと書いている。
一方で埋没を恐れる立憲民主党も代表戦を9月にぶつけることにしている。メディア露出を減らさないための作戦なのだろう。
自民党総裁選の選挙管理委員は11名。中立を求められ候補者の推薦人になったり応援演説をしたりできなくなる。派閥はなくなったはずだがなぜか「派閥を一定程度考慮した」不思議な人選となっている。TBSはある陣営は「露骨な人選である」と反発したと伝える。この陣営が推薦人の確保に苦労していることがうかがえる。日経新聞は高市陣営からは不満の声が出ていると見出しを立てている。
総裁選をどう進めるかを決めることができるのは総理・総裁だ。人事の他に予算でも影響力を行使できる。
8月は概算要求の時期だ。要求にはキャップ(上限)が決められているが、総理大臣が指定する特別枠がある。官僚にとってはこの特別枠にどうこじつけて省益を誘導するかが腕の見せ所となる。
ここで循環経済という新しいキャッチフレーズがでてきた。「所得倍増」以来あやふやなキャッチフレーズが多い内閣だが曖昧なルールを制定することで利益確保を図り総裁選を有利に進めることができると考えているのかもしれない。また財政投融資という高度経済成長期の仕組みを引っ張り出し「成長産業への集中投資」を行うそうだ。
また、今回は「最初に立候補した人は明智光秀と言われる」という謎の空気ができており今のところ立候補を表明している人はいない。一番人気の石破茂氏でさえお盆に決めると言っている。早くに意見表明すると潰されると警戒する候補者もいるようだ。
こうなるとマスコミ報道は「誰が次の総理大臣になるか」一色になる。アメリカ政治にも国際政治にもほとんど興味を持たない日本人だがなぜかアメリカ大統領選挙には夢中になっている。基本的に政治には興味がないが「人事と選挙」は大好きなのだろう。立憲民主党は代表選挙を9月末にぶつけることで埋没をかろうじて防ぎたい意向である。
立憲民主党の中には共産党と組んだほうが得か損かという路線対立がある。これに伴い、泉代表・玉木代表・馬場代表の間の交流が活発となっている。またこれとは別に小沢一郎氏の動きもぽつぽつと報道されるようになった。自民党から離反した保守派を取り込むべきと主張する野田佳彦氏(つまり彼は右派を自認しているのだろう)や旧社会党右派で今はサンクチュアリという党内グループをまとめている赤松広隆氏と会合を行っている。
また7月に日銀の金利政策に変化があれば閉会中審査をやるようにとの要求もでている。Bloombergによると現在のメインシナリオではない(正確な表現は下記引用を参照のこと)上に、そもそも日銀は政府からの独立が求められている。なんのための審議なのかはわからないが「アベノミクスは失敗した」と言いたいのかもしれない。
ブルームバーグ調査によると、31日の利上げを予想する日銀ウォッチャーは3割程度に過ぎないが、9割以上がリスクシナリオとして最も早い利上げのタイミングは7月会合と回答した。
加速する円高、重要水準突破し世界的キャリートレード巻き戻しを主導(Bloomberg)