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訪米中のネタニヤフ氏はトランプ前大統領との会談を熱望

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ネタニヤフ・イスラエル首相が訪米中だ。だがその状況は招待されてから大きく変わってしまった。ネタニヤフ氏はトランプ前大統領との面会を熱望していたがトランプ氏は「断るかもしれない」などといわれていた。ガザ地区では大勢の市民が今も逃げ惑っているが、アメリカとイスラエルの指導者たちは自分たちのことしか考えていない。一方で中国もこれに「参戦」している。ハマスとファタハの間に和解が成立した。まさにカオスといったイスラエル情勢を整理する。

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ネタニヤフ・イスラエル首相を議会に招待したのは共和党のジョンソン下院議長である。バイデン大統領は民主党左派に支配されていてパレスチナの味方をしているという印象をつけるのが目的だった。結局これは超党派のプロジェクトになった。

ところが、バイデン大統領が大統領選挙から撤退したことで状況は一変する。トランプ氏はネタニヤフ首相がいち早くバイデン大統領の当選を祝ったことに腹を立てており当初は「ネタニヤフ首相と会わないのではないか」という観測がでていた。民主党側もイスラエル情勢とネタニヤフ首相を切り離したい。こうしてネタニヤフ首相は一転して「面倒な存在」となってしまう。

結果的に議会演説は水曜日(日本では日付が1日ずれる)でバイデン大統領との面談は木曜日となった。トランプ氏は金曜日に面談するそうである。「みんなの心の大統領」のトランプ氏がいるところがアメリカの政治の中心地となるという考え方なのだろう。ネタニヤフ首相がフロリダに出向くことになる。

ネタニヤフ首相の立場は日に日に悪化している。まずイスラエル軍はハマス壊滅に夢中になっており人道地区を頻繁に変更しつつ(とにかく人道地区さえ指定すれば戦争犯罪にはならないと思いこんでいるようだ)各地で民間人を巻き込んだ激しい攻撃が行われている。南部ハンユニスでは70名が亡くなった。

イスラエル国会ではパレスチナ国家など認めないという決議が出され野党指導者のガンツ氏もこの決議に賛成した。西岸ではユダヤ人入植者が農民と外国人活動家を襲撃した。こちらも無法地帯になっている。

イスラエル国民はいつまで経っても人質が返ってこないことに苛立っている。アメリカのブリンケン国務長官はガザ和平は残り10ヤードだと発言しているが、ネタニヤフ首相も「開放合意は近い可能性がある」と改めて宣言した。

アメリカやイスラエルの提案はハマスの完全排除が前提になっている。だが実際には中国が主導しファタハやハマスなどの諸派が統一政府形成で合意に達した。そもそもファタハとハマスは合意と対立を繰り返しているうえにアメリカとイスラエルがハマスの入ったパレスチナ政府を交渉相手として認める可能性はほぼゼロだそうだが、習近平国家主席は自身のイニシアチブを見せつけつつ「中国が世界和平に尽力しているのにアメリカがそれを台無しにした」という図式を作りたいのかもしれない。この合意は北京宣言と呼ばれているそうだが新政府樹立がいつになるかという期限は書かれなかったそうだ。

各国の指導者たちが自分たちの思惑で様々な動きを見せるなか、飢えたガザ地区の人々はイスラエル軍の命じるままにガザ地区のあちこちを逃げ回っている。

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