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お約束どおり堀井学議員が自民党を離党

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東京地検特捜部から強制の家宅捜索を受けた堀井学議員が自民党に離党届を出し受理された。岸田総理は「強い危機感」を表明したがこれを額面通りに受け取る人はだれもいないだろう。すでに総裁選までのカウントダウンが始まっており岸田総理に問題解決を期待する人は多くない。

堀井氏はすでに2196万円の不記載問題で「党の役員1年停止」の処分を受けており自民党の人事にもさほど影響はなさそうだ。

この問題は堀井氏固有の問題として処理されるだろうが日本の政治はますますお金がかかるものになってゆくだろう。

限られた一部の有力者と組織票を自民党と立憲民主党などの野党が取り合う構図が作られつつある。無党派が政治に参加しない限りこの状態は続くが、近代国家から「ムラ」の連合体に堕落しつつある日本で無党派が政治に参加するような状況が作られる可能性は極めて低いのではないかと思う。

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堀井学氏はスピードスケートで銅メダルを獲得しその後北海道議会議員になった。鳩山由紀夫氏の対抗馬として自民党から出馬するが鳩山氏は立候補を断念している。堀井氏の地盤は室蘭・苫小牧・日高からなる広大な北海道9区である。室蘭から苫小牧までは60キロメートルほどあり苫小牧からえりも町(日高の南端)までは150キロメートル以上ある。特に人口が集中するのは室蘭から苫小牧にかけてのエリアだが北海道有数の工業地帯を形成している。

今回の公職選挙法違反の容疑は香典などの不正支出である。本人ではなく秘書に届けさせると違法になる。堀井氏の選挙区は広大であり葬儀に参加するだけでも1日仕事になるのだろう。

ライバルは立憲民主党の山岡達丸氏。自民党を離党したのち紆余曲折を経て民主党に参加した山岡賢次氏の息子である。山岡氏は選挙に弱く堀井氏に負け続けていたが直近の選挙では選挙区当選を果たしている。太平洋に面した北海道9区は製鉄所・自動車部品製造・パルプ産業が盛んな地域であり労働組合などの組織的支援が重要だ。山岡氏は左派系の主張(脱原発)と労働組合の要請(原発推進)の間で揺れている。いずれにせよ組織票が山岡氏に期待するならば堀井氏は地元の古い考えを持った有権者たちを引き付けなければならないと感じるようになるだろう。無党派層不在を前提に組織票と地元有力者を奪い合うという意味では、北海道9区は日本の典型的な都市型政治地域と言えるのかもしれない。

公職選挙法が議員本人以外の香典などを禁止しているのはおそらくは香典を許してしまえば政治家同士の「香典合戦」に歯止めが効かなくなるからだろう。とはいえ本人が弔意を示すために手ぶらでゆくわけにもいかない。今回の事件から、日本には「これまで面倒を見てやったのだから香典くらいははずむべきだ」と要求する有権者も未だに多いということがわかる。葬儀は人生の総決算であり遺族がその政治家を支援し続けるかどうかを判断する材料となるのかもしれない。

岸田総理はお約束どおり「強い危機感」を表明したが実際には「離党したのだから自民党には説明責任はない」で押し通すのだろう。集団と個人を巧みに使い分け問題が起きた個人を容易に切り離してしまう傾向があることがわかる。組織統治の問題ではなく「政治家個人が勝手に解決すればよい」問題とみなされている。だがどっちみち岸田総理は9月までとみなされいる。

無党派層が政治離れを起こす状態が続くならば、自民党と立憲民主党は地元有力者や労働組合などの組織票を取り合うしかない。今回の堀井氏の問題は全体の「政治と金の問題の解決」にはまったく貢献しないだろう。また無党派層が政治に参加しない限りたかりの体質はそのまま日本の政界に残り続けることになる。組織票が先細るなかで取り合いはますます加熱するのだから「政治にはお金がかかる」という状況は寄り加熱するのかもしれない。

とはいえ今の状態で無党派層が政治に参加しても石丸伸二東京都知事候補・斎藤元彦知事で示された無責任・対話破壊型の候補者が出てくるか、あるいは「支援や補助」が期待できるときだけ投票するおねだり型の投票行動が助長されるだけだろう。

政治と金の問題を解決するためには政党が政策交流を通じて無党派層を開拓していかなければならない。だが蓮舫陣営からわかるように日本の政治運動は極めて後ろ向き・内輪・かつナイーブなものだ。個人が集団と癒着し囲い込まれたくない無党派を遠ざける。政党は内輪の論理を優先した自己宣伝を繰り返すばかりで無党派との対話を望んではいない。東京都知事選挙では一部AIを使って政策を吸い上げようとする動きもあったが長年教育を荒廃させ続けてきた成果もありこれを理解できる有権者の数は極めて限られている。

なお共同通信によると北海道には香典に領収書を出す習慣があるそうだ。これが証拠となり今回の摘発の物的証拠となった。裏を返せばそのような習慣がない他の地域では摘発が難しいということが言える。

このようにして日本人は対話能力を失いつつあり富国強兵を目指した意志ある近代国家から小藩乱立の江戸時代的な状況に回帰しつつある。

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