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バイデン大統領はNATO会合でも疑念を払拭できず

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バイデン大統領がNATO会合でも「失言」を連発した。日本でも大きな関心を呼んでいて「度重なる言い間違いに高齢懸念が高まった」などと報じられている。特に有名なジョージ・クルーニー氏の撤退要求などが大きく報じられている。

民主党の意見はまとまっておらずオバマ元大統領とペロシ氏の取りまとめに期待する声が聞かれるという。一方でEU議長国のオルバン・ハンガリー首相はゼレンスキー大統領、プーチン大統領、習近平国家主席、トランプ前大統領と立て続けに会談した。トランプ氏を事実上の次の大統領と考えているのかもしれない。経済と安全保障の面では大統領選挙が行われる11月までの間は不安定な状況が続くだろう。

日本の自民党総裁選挙(事実上の次の総理選び)は世界と我が国を取り巻く安全保障問題が最も不安定な時期に実施されることになる。

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バイデン大統領の失言には共通点があり次のように説明できる。

内政ではトランプ氏のことで頭が一杯だ。そのために「使っている」のがハリス副大統領である。ハリス副大統領は彼にとって単なる道具に過ぎない。このルールを当てはめるとバイデン氏はプーチン氏のことで頭が一杯でゼレンスキー大統領はそのための道具に過ぎないことになってしまう。

会見を聞く限りプロンプターなしで長いスピーチをこなしており外交や経済の数字についての間違いはなかった。つまり彼の得意分野について認知能力は衰えていない。

一方で政治的闘争のために誰かを道具にするという本音を隠す能力は衰えている。また会見の抑揚も極めて不安定だった。もともと感情的にはかなり起伏がある人なのかもしれない。これまで抑えていたものが抑えられなくなっているのだろう。

特に会見でプーチン氏とゼレンスキー氏を取り違えたことを聞かれたときには対応がしどろもどろになっていた。本当に区別がついておらず正しいことを言っているのどうか自信が持てていないようだ。

また会見を聞くとわかるがanywayがとにかく多かった。いろいろなこと(それ自体は間違っていない)をスラスラと説明したあと「あれ質問となんの関係があるんだったっけ」と自分でもわからなくなってしまうようである。

いずれにせよ本人は認知能力に問題があるとは思っていないだろうから自発的な撤退はなさそうだ。だが「敵に対する意識」が過大で意思決定が歪んでいる可能性はある。これが本来の資質だったのではないか。

民主党では非公開の会合が繰り返されているが意見はまとまっていないようだ。撤退を主張する議員もいるが擁護する人達もいる。このためオバマ元大統領とペロシ元下院議長に期待する声がある。CNNによるとオバマ氏とバイデン大統領の関係は「複雑」なものだったそうである。どうやらこの2人はあまり仲が良くないようだ。バイデン大統領にとってオバマ元大統領もあるいは「道具」の一人だったのかもしれない。

ペロシ元下院議長は「バイデン氏は自発的に決定することができるが時間は限られている」と主張している。司会者が「すでにバイデン氏は決断したのでは」と聞いても何も答えなかった。つまり論理的には「その決断=撤退の決断」ということになる。これが波紋を広げている。

民主党が揺れれるなか、すでに外交上は問題が出ている。EU議長国のオルバン首相がゼレンスキー大統領・プーチン大統領・習近平国家主席・トランプ前大統領を立て続けに訪問した。オルバン氏はEUの反主流派筆頭の領袖であり主流派のフォン・デア・ライエン氏等の勢力に対してプレゼンスを高めたいという政治的動機がある。主流派がウクライナ支援継続で固まりつつあるなかでそれとは違う軸を作りたいのだろう。

トランプ氏を事実上の次の大統領として扱うことはアメリカ政治に対するオルバン首相の政治的介入と言えるが動揺する今のアメリカ政治はこの問題に厳しく対峙することはできない。EUやNATOにとってもオルバン氏に同調的なアメリカの大統領の存在は不都合きわまりない。アメリカとヨーロッパの二極化がどのように解決するのかはまだ見えてこない。

高齢不安をきっかけにして世界外交にかなり深刻な空白が生じていることになる。今後アメリカ大統領選挙の情勢が確定するまでの間は経済と安全保障の状況は極めて不透明なものになるだろう。

アメリカの世論調査によるとトランプ氏とバイデン氏の支持率は拮抗しておりこれがハリス氏に変わっても「誤差の範囲」であるとされる。こうなる大統領選挙戦直前の10月から大統領選挙が行われる11月までの間は不透明な状況が続くことになる。岸田総理の後継を決める総裁選挙が行われるのは9月なので日本は外交が最も不透明な状況で次の総理を決めることになるのかもしれない。

日本の外交はとにかく欧米に追従していれば問題はないというものだったが、その前提は徐々に崩れつつある。

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