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野党共闘はなぜ失敗したのか

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NHKが野党共闘を続けるべきかという世論調査をやったらしい。続けたほうがよいが19%でやめるべきが31%だった。どちらともいえずが42%なのだが、これは「別にどうでも良い」だろう。これが肌感覚に一番近い。だって、どうでもいいじゃん?と思ってしまう。
では、なぜ野党共闘は失敗したのかという点が問題になるわけだが、これを考えていて「日本の政治状況は資源のある発展途上国型だから」という結論に達した。
普通の先進国は国が繁栄するためにはどうしたらよいかという点に力点が置かれる。そのための方法論にいくつかの仮説があり、政策のコンペティションが行われる。これは「いかに稼ぐか」ということであり、いわば成長戦略だ。
しかし、資源のある発展途上国にはそれがない。例えばベネズエラは石油を売ればよいのだし、ロシアは天然ガスを輸出すればよいのだ。故にこうした国では政策論争が発達しない。主に問題になるのは、国民にどのように分配するかという問題である。
日本で分配に関与できるのは政権政党だけだ。だから政権政党にならなければ何の意味もない。二位じゃダメなのだ。しかし民進党には支持が集まらないので、自民党を追い出された人たちや左派と組んで、野党連合を立ち上げた。しかし、野党連合には「政権を否定する」以外の動機がない。これでは「政権を取った後どうするの」という問題が生まれるので、支持は広がりようがない。それどころか分配に関与しないので、有権者は興味すら覚えない。だから「だって、どうでもいいじゃん」と思う訳だ。
では日本の天然資源は何だろうかと考える。それは国民が溜め込んだ資産だ。資産は国債の形で政府に流れ込んでいる。これを自由に使い込めるのが政権であり、国民はおおむねそれを是認している。結局、自分たちの貯金をバラまかれて喜んでいることになる。憲法レベルで国の借財を抑制しない限り、日本で政策論争が行われることはないだろう。あるのは分配を巡る宣伝のみだが、これは南米あたりのポピュリズモに似ているのではないだろうか。南米のポピュリズモ政権は汚職で苦しむか、長い経済不調(それは50年以上続いたりもする)に苦しむことになる。
ブランディング的に見ると、自民党は老舗デパートみたいなものだ。一方で共産党はユニクロのような存在だろう。ポジションが明確なのでメリットさえ認められればよいのだ。ユニクロが「デパートはけしからん」というのは間違っている。ひたすら服を作ればよいのだ。一方、民進党はデパートに偽装したスーパーマーケットみたいな存在になっている。デパートの就職試験で落ちた人たちや辞めさせられた人たちが騒いでいるみたいな印象だ。デパートと競争すれば負けるのは明白である。だが、本人たちは意外と気がつかないようだ。


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