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「すずつき」の問題を放置すれば中国に有利な状況が生まれるだろう

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海上自衛隊を中心に218名の処分がでた。うち181名が海上自衛隊であり懲戒免職も11名含まれるという。自衛隊の中に問題が起きていることがわかるが退任する酒井海上幕僚長は「遵法精神がなかった」とのみ総括している。

このエントリーではおそらく今後も語られることがないであろう「すずつき」の問題について簡単に整理しこれが中国に対して有利な状況を作り出す見通しを説明する。

自党の裏金問題さえ戦略的に処理できなかった岸田政権では詰将棋のように状況を作り出す中国にはとても勝てないだろうし、自民党政権を支える自称愛国者は問題の抽出や整理すらできないだろう。

日本はこのままでは中国に対峙できない。

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すずつきについては「何らかの理由で一般公開が停止になった」ことと「政権が国民に説明するつもりがない」事がわかっている。一方中国側は技術的な問題による偶発的な事故だったとの説明があったと主張している。

素人がぱっと思いつく限りでもいくつかのシナリオが考えられる。

  • 岸田政権が国民感情を背景に報復・対抗のためにやった → であればなぜ国民にそう説明しないのかということになり、何らかの理由で岸田政権が表立って中国に対抗できないということになる。中国は「もう少し状況をエスカレートさせても大丈夫だ」と思うだろう。
  • 現場が勝手にやった → 「やりたい放題」の中国に対抗しようとしたのだろうが政権はなぜそれを止められないのかという問題になる。日本政府は軍(日本はそうは認めていないが)を管理で気ていないということになると同時に現場に苛立ちが募っていることがわかる。中国はこれをどう利用してやろうかと考えるだろう。
  • 中国に説明したように技術的なミスだった → 自衛隊の船は自分がどこにいるかわからないほどオンボロということになる。アメリカとの一体性が前提になっているため単独行動での技術的限界が露呈したということになる。アメリカが何らかの理由で中国に軍事的リソースを振り向けることができないならば、台湾などの状況を「動かす」チャンスが生まれるだろう。

中国は詰将棋的に太平洋への出口を作ろうとしている。一方の日本のやり方はどこか場当たり的である。そもそも問題を日本国民に公開することすらできていない。なにかしら言えない事情があるか、本当に内情がよくわかっていないのだろう。あるいは自衛隊にさほど関心がないのかもしれない。

今回の一連の不祥事において木原防衛大臣が気にしていたのは特定秘密漏洩の問題だった。ただし、自衛隊の運用体制についてはさほど気にしておらず「アメリカの不信感が高まるのが怖い」と考えているようだ。NHKのニュースでもやたらと「内外の不信感」などと言われていた。

日本国民にとって自衛隊とはどんな存在なのだろうかと考えた。おそらくそれはテレビやスマホのようなものだろう。テレビやスマホは動くのが当たり前で「こんな番組は扱いたくない」とか「こんなアプリは嫌だ」などとは言わない。憲法外の存在であって文民統制上も政治的発言はできないことになっている。このため日本国民も政府も自衛隊の扱いにはさほど注意しなくてもいいと考えているのだろう。無茶な操作をしてもなんのアラートも出さずとにかく動き続けるものとして扱われている。

特定秘密の問題でも隊員が足りておらず政治の要請(実際にはアメリカの要請なのだろうが)に応えた運用ができていなかった可能性がある。潜水士の問題についても誰かが発案し隊の内部で手法が引き継がれてきたことがわかっている。厳しい訓練に見合わない処遇に不満があり「これくらいもらっても当然」と考えていた可能性がある。

しかしアラートは出ない。それはやってはいけないことになっているからだ。

このため自衛隊の幹部や現場がどんな気持ちでいるのかは能動的に聞き出さない限りは聞き出せないだろう。

退任する酒井海上幕僚長は「法律を守ろうとする考え(遵法精神)が隊の中になかった」と発言するのがやっとだった。

本来ならば保守・愛国というセクターが問題を総括したうえで世論を喚起してゆく必要があるが「石丸ショック」から彼らはすでに論理的な文章を読んだり書いたりすることは難しいということがわかっている。彼らは結果としての「勝ち」に乗りたいだけの存在であり全くなんの助けにもならないのだ。

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