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リオ・オリンピックのワーストドレッサーはどの国だったのか

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リオデジャネイロオリンピックが始まった。開会式はなかなか面白かった。中国みたいにこれ見よがしに国力を見せつけるよりも、環境などに配慮した上で文化の多様性を見せる演出は成功したのではないかと思う。

高度経済成長期で止まってしまった日本のクリエイティブ

この開会式でもっとも話題に上ったのは、日本のユニフォームの圧倒的なダサさだった。日本がなぜ経済的に行き詰まっているのかがよくわかる。もともとブレザーというのは西洋からの輸入品だ。日本人は長い間「先進国と同様に見られたい」という意識が強かった。それがこのブレザースタイルに表れている。「スポーツ大会でちゃんとするならブレザー」という思い込みがあるのだろう。確かに、前回の東京オリンピックではほとんどの国がブレザーを着用していたようだ。
しかし、この日本人の意識は多分1960年代くらいで止まっているようだ。なぜか「かっちりした」スタイルが「日本の伝統」ということになってしまったが、それ以降の世界の潮流は無視されることになった。
赤と白の配色が悪いという声が上がりそうだが、カナダやトンガが同じ配色を使っている。カナダはディースクエアードのデザインだ。ただし、配色としては二色ではなく三色構成である。

個人がクリエイティブに責任を負えない国

この壊滅的なデザインを作ったのは誰かと思ったのだが、デザインは高島屋なのだそうだ。デザイナーが個人ではないので、カナダやイタリアのような思い切ったことができないのだろう。集団で「無難なほう」に転がることで、結果的に世界から浮いてしまった。日本国内では「これでいいんじゃないか」ということになったのだろうが、同列に並べると時代遅れということになってしまうのだ。

世界の潮流はどうなっているか

1960年代は確かにほとんどの国がブレザースタイルだったのだが、最近では大きく変化している。先端をいっているのはイタリア(アルマーニ)とスウェーデン(H&M)だろう。(いくつかの国のユニフォームを集めたオーストラリアABCの記事)スポーツウェアがジャケットスタイルだったというのは、19世紀までのイギリスの考え方であって、やはり現代では綿や羊毛以外の素材を使ったスポーツウェアが「正装」なのだ。フランス(ラコステ)もジャケットスタイルだが、動きやすそうな軽快なスタイルだった。
もしどうしてもオーソドックスなジャケットスタイルで行きたいと考えるなら、サッカーでやっているような色味を抑えたスタイルにすることができる。もしくはカナダのように思い切りシルエットを崩す工夫が必要だ。
前回の東京オリンピックではカラーテレビが導入されてすぐだったので、鮮やかな色彩はとても目立った。しかし、現在はハイビジョンの時代だ。鮮やかすぎる色彩は浮いてしまう。中には原色以外を使ってスーツを構成している国もあった。
もう一つ分かったのがカジュアル化の流れである。スーツから芯が消え、ショーツ(良かったかどうかは別にして)を採用している国も多かった。技術革新が進みスーツ以外のスタイルが構築できるようになったからだ。よく「若者のデパート離れ」と言われるが、日本代表のような服を着るのは、成人式(しかもイオンしかない地方のまじめな方の参加者)か七五三くらいだろう。日本のデパートはそれくらい時代から取り残されているのである。

民族衣装が新鮮

太平洋諸国、アフリカ、東南アジアなどでは民族衣装テイストの服を着ている国があった。民族衣装が良いというより、個性的な服で晴れやかに歩く姿が良かったのだろう。
日本も着物で登場すべきだという声があったのだが、残念ながら多くの日本人は自分たちの民族衣装を自分で着ることができない。しかし、仮に着物にするなら「赤と白のツートンカラー」などということはしなかったはずだし、いくらでも色のあしらい方があったはずだ。
このことから、今回の日本のユニフォームがダサかったのは、実は西洋的な伝統を自分たちのスタイルにできていないことを示している。

しかし、ださかったのは日本だけではない

しかし、この開会式を見ていて壊滅的にダメだなあと思ったのは日本ではなくアメリカ合衆国だった。なんで、あんなスタイルにして、中にボーダーを合わせたのだろうと思った。どうやら、ラルフ・ローレンの制作らしい。写真単体で見るとそれほどひどく見えないのだが、世界のファッション大国が先に進みすぎているせいで「今は20世紀ですか」というような見え方になってしまった。
アメリカも日本同様「古き良きあの時代」に捉われる過去の大国になりつつあるのかもしれない、とすら思った。
もう一つひどかったのは中国だ。中国も日本同様に無難な(従って流行遅れの)スーツスタイルなのだが、なぜあのマスタードのような黄色を選んだのかが分からない。国内でも評判が悪かったという。韓国もブレザースタイルだった。やはり、日本と韓国はメンタリティが似ていると思う。韓国が悪目立ちしなかったのは配色が学校の制服のような紺色だったからだろう。台湾も同じようなジャケットだったのが、ニュートラルな色合いに鮮やかなインナーを使っている。
ということで、ダサかったのは日本だけではなかった、ということで今回の慰めにしたい。