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「民進党が憲法改正に参入」という悪いニュース

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さて、悪いニュースが飛び込んできた。蓮舫民進党代表代行が細野氏と会談した。党内右派との妥協点を探すためと思われる。この中で民進党は共産党との強調路線を改め、改憲案の策定を行うという。
これがなぜ悪いニュースなのか。そもそも現在の憲法の不具合はほとんどない。多分不具合は、当時想定されていなかった自衛隊の位置づけくらいだろう。だが、憲法第九条はなぜだがタブーとされている。すると「別に変える必要がないのに、何か変えたい」ということになってしまう。
するとどうなるか。民進党と言えば、マニフェスト選挙で知られる。本来は政策集なのだが、民進党は、実現可能性を考えずにいろいろな「夢」を盛り込んだ。いわゆる「詐欺フェスト」と呼ばれるものだ。
既に維新がマニフェストで学校教育の無償化を盛り込んだ憲法草案を出すといっている。「小学校が無償なのだからやってできないことはない」という理屈なのだと思うが、財源が捻出できるとは思わない。民進党は「前科一犯」なので、自民党との差別化を図るために「夢にあふれた」マニフェストのような「選挙で勝てる憲法草案」を出すに決まっている。つまり、憲法草案が、新しいマニフェストになってしまうのである。
マニフェストは「できませんでした」と言ってしまえばそれで済んだ。政党の私的なドキュメントであり、厳密には法的拘束力はないからだ。しかし、憲法はそうではない。実現不可能なことを書いて、国会で通ってしまえば法的拘束力を持つ。できなかった場合には憲法そのものが空文化する。日本人の悪癖からして「骨抜きが可能なように」解釈の余地が残るかもしれない。
民進党がまともな憲法草案を作っても誰も振り向かないだろう。壮大な夢を語らなければならない。すると、それが実現不可能なものになる可能性はきわめて高い。
下手をしたら「国民に天賦人権はふさわしくない」とか「憲法は国民への説教だ」などというたわごとを聞きつつ、夢見たいな物語を聞かされるということになりかねない。もっとも、憲法論争がマニフェストのようになり、誰も憲法草案を信じなくなるというなら、それほそれでよいのかもしれない。
実際に、明治憲法はそのような経緯をたどり、結局改正できなかったらしい。それが原因で軍部の暴走を抑えられず、第二次世界大戦に突入するのだ。