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民主主義の犠牲者 維新系の兵庫県で死者が出た

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あの「維新系」知事の兵庫県でついに死者が出た。県知事を告発した元県西播磨県民局長が亡くなったのである。経緯を見るとこの元県民局長が不憫でならない。政局に巻き込まれ辞職も許されず処分された後の不幸だった。彼は民主主義によって殺されたと言って良い。

知事は「維新系」と書いた。おそらくこの表現に違和感を持ちあるいはコメントを書きたくなる人もいるかも知れない。おそらく今後「この県知事を誰が担いだのか」は大きな問題になり責任の押し付け合いが始まるだろう。

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報道で知る限り斎藤氏のパワハラ気質は相当のものだったようだ。レポートの内容もひどいのだが元県民局長の退職を許さず処分を優先している。あるいは「飼い犬に手を噛まれた」と考えているのかもしれないと思いたくなる。

一体誰がこんな人を知事にしたのかと思ってしまう。だが、そもそも斎藤元彦知事が維新系なのかと言う点に最初の疑問があるようだ。

東洋経済の記事によると斎藤氏は総務官僚を経て大阪府で3年財政課長を務めた。維新が掲げる経費削減などを主導したのだろう。ところが斎藤元彦氏に最初に目をつけたのは自民党だった。長期政権化していた井戸政権とその後継では維新に勝てないかもしれないと考えた一部の自民党議員たちが発掘したのが「若くて爽やかな」斎藤元彦氏だった。元経済産業大臣の安倍派・西村康稔元経済産業大臣が主導したなどとも書かれている。

すると自民党の一本釣りを恐れた維新が「斎藤さんは維新の候補者である」と主張し「斎藤さん=維新系」というイメージが作られてゆく。

兵庫県は都市部と山間部・淡路などに分かれている。都市部では徐々に維新が浸透していたが山間部・淡路では自民党が強い。このため就任当初の斎藤元彦知事は「自民党に一定の軸足を置く一方で、維新の改革スピリットをしっかりと一緒になってやっていく」と宣言していた。バランス感覚あふれる発言だ。

若くて、爽やかで、官僚なりのそつのなさもある。Mr.パーフェクトと思われていた斎藤元彦氏には裏の顔があった。それが細かいことを気にし過ぎ部下に厳しいという「パワハラ気質」だ。

そんな齋藤氏に怪文書が出る。怪文書の出元は元県民局長だった。「調査」が行われた結果「県民局長氏はデタラメを言っている」ということになったのだが、独立調査委員会を主導した人と斎藤知事の関係が露見し騒ぎが大きくなっていった。

おそらくもともと自民党の中の井戸派・反井戸派という遺恨もあったのかもしれない。斎藤元彦知事を糾弾する百条委員会が作られた。維新と公明党は設置に反対したそうだが自民党は賛成に回った。

このようにして斎藤氏の糾弾は徐々に「政局化」していった。読売新聞によると百条委員会は「関係者に出頭・証言を命じる権限を持つ」ため証言を拒否できない。おそらく糾弾の動機は維新と自民党の間の政局である。気の弱い人であれば逃げ出したいと考えたはずだ。だが斎藤知事はそれを許さなかった。元県民課長に対して「逃げ得は許されない」とばかりに退職を引き止めて処分を優先している。産経新聞は次のように書いている。執拗さがうかがえる。

斎藤氏は同月27日の会見で、文書の内容を「事実無根」などと批判し、同月末の予定だった男性の退職を保留。県の人事当局が調査を始めた。

斎藤知事の誕生は高まる維新旋風への対策を求められた自民党と維新の駆け引きのよって生まれた。つまり民主主義の賜物と言って良い。

もともとはどちらが先に斎藤氏を発掘したのかという競争だったはずだが不祥事が起きると一転して「どっちのせいだ」「誰が悪い」という話になってしまう。その間に挟まれる形となった元県民局長は家族を悲しませる最悪の決断をした。民主主義に翻弄された悲劇と言える。

心より御冥福をお祈りしたい。

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