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「ガザの和平交渉が進展」が素直に喜べない理由

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アメリカとイスラエル双方から「ガザの和平交渉に進展があった」との報道が出ている。だが素直に喜べない。なぜならばイスラエルはヒズボラに対して攻撃を仕掛け全面戦争に陥りかけているからである。状況はむしろエスカレートしているのだ。

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アメリカとイスラエルの双方から「ガザの和平交渉に進展があった」というニュースが入ってきた。イスラエルの高官に独自のパスがあり特ダネを連発してきたバラク・ラビド氏も「Biden tells Netanyahu: It’s “time to close” Gaza hostage-ceasefire deal」と書いている。バイデン大統領が強いリーダーシップを発揮してネタニヤフ首相に終戦を働きかけているとの内容だ。民主党寄りのCNNもイスラエル高官の話として「イスラエルとハマス、停戦と人質解放の枠組み合意間近か イスラエル情報筋」枠組みの合意が近いと書いている。

いよいよ10月7日以来続いてきた戦争が終わるのかと晴れやかな気持ちになった。

しかしながら、これとは全く異なる動きも起きている。政治ではなく経済で動くBloombergの記事の表現は「イスラエル、ハマスのガザ停戦新提案を検討-ヒズボラとの緊張は激化」となっている。

バイデン大統領はテレビ討論の失敗から民主党候補者として黄色信号が点滅している。民主党寄りのメディアはなんとかしてバイデン氏をもり立てる必要がありABCは金曜日にクリントン政権の広報担当だったジョージ・ステファノプロス氏によるインタビューを予定している。このインタビューで高齢懸念を払拭し民主党政権の大統領候補として存続してもらおうという配慮なのだろう。仮にカマラ・ハリス副大統領以外の候補者が民主党候補になった場合は寄付のやり直しが必要になるようだ。

対トランプキャンペーンにはとても間に合いそうにない。

バイデン大統領は「8月の党大会までに成果を上げたい」と焦っていることだろう。

ネタニヤフ首相はとにかく政権を維持するために何らかの戦争を継続したい。だがガザ地区攻撃には国際社会からの批判が高まっている。つまりアメリカを引きずり込んだままで戦争が継続できればそれがガザだろうがレバノンだろうが別にどこでも構わないのである。むしろガザの戦争を転移するためにヒズボラに攻撃を仕掛けた可能性がある。新たに1名のヒズボラ幹部が殺害されヒズボラは激しく抵抗している。イスラエルの北部からは多くの避難者が出た。

BBCは「この武力衝突が、全面戦争に拡大する懸念が高まっている。」と書いている。前回はハマスの攻撃がきっかけとなっていたが今回はイスラエルがヒズボラに対して攻撃を仕掛けている。むしろ高位司令官をターゲットにすることで状況をエスカレートさせていると言って良いだろう。

もちろんガザ情勢も「和平交渉が前進しただけ」なのでイスラエルが攻撃をやめる必要はない。むしろ攻撃は強まっている。西岸でも新しい土地の接収が始まった。パレスチナ人住民は突然彼らの土地の所有権を奪われてしまった。

こうしてネタニヤフ氏個人の政権維持のために続いている攻撃はますます強まっており地域を巻き込んだヒズボラとの全面戦争が起こりかねないフェイズに突入した。しかしバイデン大統領はとにかく何らかの成果を必要としておりイスラエルの暴挙に対応できていない。

ネタニヤフ氏はこのままの状態を維持し11月のアメリカ大統領選挙まで持ちこたえたいのかもしれない。イスラエル国民とパレスチナ市民の苦難はまだ続いている。

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