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護憲派左翼は東京都民の10人に1人

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ということで都知事選が終わっていろいろなことが分かった。
いわゆる「護憲派左翼」の人口は130万人程度。鳥越さんは「純粋野党的な主張」をしたので、精度のよい数字が取れた。前回の宇都宮さんが100万票程度だったので、護憲左翼の人数はだいたい10人に1人なのだろう。民進党が政権を取りたいなら野党共闘路線は危険だ。有権者は共産党が嫌いというよりも、憲法問題や安全保障には興味がなさそうだ。
故に、民進党の野党共闘路線は破綻するだろうことが予想される。具体的な政策を提示せずに「自民党が気に入らないから」という理由だけで政権を取ることはできないのだ。
無党派が期待するのは「政策の実現」ではなく「他人を罰すること」だということが改めて分かった。日本人は基本的に政策などという「絵空事」には期待していない。だが対立構造には激しく反応し「利益の独り占め」を嫌がる。今回は自民党都連が悪者だという図式が作られていたので、それを罰するための「祭り」に参加したいという欲求が強かったものと見られる。そのために、投票率が上がった。2009年の衆議院選挙や小泉郵政選挙と同じ構図だ。
嫉妬は恐い。猪瀬前都知事が出てきて「内田さんたち都連がポスター貼りに協力してくれなかったから、仕方なく……」と昔の話を持ち出し「これから不正を暴いて行こう」と怪気炎を上げていた。もともと舛添さんや猪瀬さんが下ろされたのは自民党側の嫉妬(利権に手を突っ込まれた)だったのだから「あの時協力してくれなかった」などという恨みが政治を動かしていることになる。これも政策とは全く関係がない。日本人は政策や理念などを気にしないが、内輪の人間関係にはことさら執着を見せるのだ。
マスコミや政党には事前に情報が流れていたらしい。SNSなどで発信された情報を見ると週の後半には郵政だということがわかっていたのだろう。知らされていないのは有権者だけだったことになる。民進党の岡田党首は責任論に発展するのを避けるために、早々と党首選からの撤退表明した。
野党共闘路線がなぜ破綻したのかというのは興味深い問題だ。野党側の具体性のなさが挙げられるのだが、実際にやってみるまで分からないという気持ちがあるのだろう。つまり、仮説を立てて理論化してから状況を分析して行動するということが、基本的にできないのだ。そのために全ての政策は目の前にある「具体的な状況」に即して行われる。仮に事前に予測を立てても、左翼的な楽観論に傾いてしまい予測に影響するだろう。
欧米では「理念を作ってから党派を形成する」のだが、日本人は「党派ができてから利害調整の結果政策が生まれる」ということになる。方向が全く逆なのである。
また有権者の側にも「正常化バイアス」が働いているのだろう。つまり、憲法が改悪されて戦争国家への道を邁進するというビジョンに対して「そんなことが起るはずがない」と考えているのだ。


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