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次の総理・総裁候補石破茂氏と麻生太郎氏はなぜ仲が悪いのか?

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岸田総理が在職1,000日を迎えた。戦後8位の記録ということだ。永田町の関心は「誰が次の総理・総裁になるか」に移りつつある。今、最も国民人気が高いのは石破茂氏である。かつては閣僚も務めたが最近では政権に関わることが少なくなり失点が少ない。今回は石破茂さんがどのような人かについて考えるのだが政策の話は一切出てこない。日本の政治が個人の好き嫌いによって動いていることがわかる。

ゆえに最大のテーマは「なぜ石破さんと麻生さんの仲が悪いか」になる。麻生さんは石破さんを恨んでいる。

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石破茂氏は田中角栄氏にリクルートされる形で中央政界入りしている。田中派(木曜会)の事務局運営経験はあるそうだが田中派には所属しなかった。29歳と若くして議員になったことで改革意欲が強く自民党の外に出た後で復党する出戻り組だ。

国会経営者目線が強い麻生太郎氏は「出戻り組は人格的に信頼できない」と考えており石破茂氏への評価は低い。さらに麻生政権末期に石破茂氏が麻生氏に退陣を求めたことで関係はさらに悪化した。麻生氏は個人的に石破氏を恨みその影響で石破派の面々をも恨んでいる。今回の総裁選挙の一番の争点は「麻生対菅」だがその内情は個人的な好き嫌いに強く依存している。

2018年の産経新聞は次のように書いている。

さらに石破氏に先駆けて、現在石破派に所属する後藤田正純元内閣府副大臣(49)、平将明元内閣府副大臣(51)らも麻生氏退陣を突きつけていた。石破派に対する麻生氏の恨みはさぞ深いだろう。

ただし石破茂氏が麻生太郎氏を嫌っていると言うわけではない。後に「直接辞めろと言いに行ったのでまあ嫌われても仕方ないでしょうね」と淡々と分析しているそうだ。

今回の総裁選挙は「派閥の温存・財政再建路線の維持」と「派閥の解体」という構図になりそうだ。国民生活とはあまり関わりがない「自民党の在り方」が問題になっているが、自民党の統治機構の在り方問題が「国の改革問題」にすり替わるという特徴がある。そしてその核になっているのは守旧派麻生太郎氏のポジションである。これに対峙すると言われているのが菅義偉氏と「小石河連合」だ。

このうち小泉進次郎氏は今回は出馬しないものとみられている。となると次に注目されるのが河野太郎氏である。河野太郎氏は麻生派と菅グループに両足をかけている。このうち麻生太郎氏には出馬の意思を伝えたとされている。一方の菅義偉氏は「河野氏はこの際派閥を抜けるべきだ」と考えているがどこか煮え切らない態度に苛立っているとも伝わる。

岸田総理が当選した時の総裁選では石破氏は立候補せず河野支持に回っている。だが今回菅義偉氏が「派閥解消」を訴えて同じく派閥に懐疑的な石破氏を支持し、なおかつ河野氏が麻生太郎氏の支援を頼った場合には全く構図が変わってくる。

河野太郎氏にはデジタル改革派・脱原発というリベラルなイメージがあるが麻生氏の後ろ盾を得た時点で「守旧派」ということになる。一方で菅義偉氏が「脱派閥」を訴える候補を立てれば「改革派」と言うことになるだろう。菅義偉氏は次の総裁候補を指名していないが石破氏を高く評価しているなどと言われている。

あくまでも自民党の統治機構の改革が進むことを意味するだけで彼らが本当に日本の改革派(リベラル)であるという保証はない。だが、この辺りが混同されたままイメージ先行の総裁選が行われるのかもしれない。

例えば、対中国で新しい政権がどのような政策を打ち出すのかや財政再建・積極財政のどちらの進路を取るのかと言うことが語られないまま「見せかけの改革志向」で総裁選が終わってしまう可能性があるのかもしれないということだ。

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